罪悪感ってこんな気持ち
僕は胸が締め付けられるような感覚を覚えて目を覚ました。
実際には何もないわけだけど先ほどまでの夢のせいだろうと思った。ワニに嘘をついてまで【ボク】はウミをこえた。でも、楽しみにしていた『向こう岸』にたどり着いた【ボク】はワクワク感や感動などではなく、ワニを騙してしまったという罪悪感だった。夢だからと割りきれるものではなく、たかが夢と切り捨てる事もできない。
なぜなのかと考えると思い当たる事がないわけでもない。
僕はカズのお母さんの知られたくない情報をわざと言ってしまった。その情報は間違いでも作り話でもなく本当の事だったから嘘をついたわけでもないから、僕は悪い事をしたとは思っていなかった。でも、どこかで人を不幸にしたのではないかと思っていたのかもしれない。何かのテレビでやっていたが夢は記憶の整理や願望、その時の精神状態によって内容がかわるとかなんとか言っていた。それが本当かどうかを確かめる手段が僕にはないけど、これが本当なら僕は何かに罪悪感を覚えていたのかもしれない。
今までに感じた事のない胸を締め付けるような痛みが、罪悪感というものの痛みなのだろう。
とても苦しく何も良いことのないこの痛みを忘れてはいけないし、二度と感じたくもない。
僕はまだ起ききっていない頭でそんな事を思った。
誰かを騙して何かを得ても、そこに喜びはなく自分を締め付けるきつく縛った縄を巻かれていくのだ。
その縄が増えていく事により身体的にではなく精神が締め付けられていく。目に見えないからこそ恐怖は強くなり対処もできない怖さと相まって人を追い込んでいくのかもしれない。
忘れてはいけないし、再び感じてもいけない感情を抱えながら僕は今までの事を反省するのだった。