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春半ば過ぎの俳句(ちょっと遅め/2022)

作者: まのやちお

『入学式 母が切り過ぎし おかっぱ』



 記念写真には不機嫌そうなしかめっ(つら)の小さな私が、良い笑顔の母と写っています。

 場所は小学校の校門の前。入学式の写真です。


 よそ行きのワンピースを着て、髪は“おかっぱ”──にしては少し短い、と言うか刈り上げ? どう見ても磯野さん()のワカメちゃんです。

 それまで三つ編みのおさげにしていたのを、小学校入学を機にバッサリ。母がやってくれました。


 今見ると微笑ましい、とても良い写真です。







『春の声 なずな鳴らす子 歯抜けの子』



 “なずな”という植物をご存じでしょうか?

 別名で“ぺんぺん草”とも呼ばれます。まっすぐな長い茎の上の方に小さな白い花を幾つもつける、地味ですが可愛らしい花です。

 花の下の茎には細い枝のようなものが幾つも並んでいて、その先には小さなハート型が1つずつついています。

 それが葉っぱだと思っていたら、じつは、この中に種が入っているのだそうです。

 ①ハートの枝を下に少し引っ張ると茎の皮が()けて、ハートがブランと垂れ下がります。②頑張って幾つものハートをブランブランにします。③その状態のなずなの茎を親指と人差し指で“でんでん太鼓”のようにクルクル回します。

 そうすると、シャラシャラシャラ、シャラシャラシャラと不思議な音が鳴るのです。

 子供の頃はよくそんな遊びをしていました。


 外を歩いてたくさんの春の音に出会いました。

 鳥の声。田んぼの水音。草や葉を揺らす風。蛙の鳴き声。


 なずなを鳴らして遊ぶ子供の弾ける笑顔には前歯がありませんでした。

 大人の歯が生えてくるまで、あともうちょっと。




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