第97話
戦闘員は、頭領に「敏郎、一体全体、どうなっているんでしょうね?普通の歩き方と動作で、腰痛の影もありませんね!信じられませんよね!あいつ、マジで、魔物じゃないですか?戦闘の時のあの痛そうな感じが全然というほど感じられませんね!どうなってるんでしょうね?本人に聞いてみたいですね!」
頭領は「ワシ、ビビっちゃったよ!千鶴の祖父だけに、恐ろしいパワーと回復力のあるやつだな!」と半ば、呆れるとともに、感心したような言い方だった。
戦闘員は「しかし、どうやって、完治したんでしょうね?生半可な治し方じゃないですよ!たぶん、敏郎は、魔物だけに祈禱や呪いを自分にかけて治したかもしれません!あいつなら、やりかねませんよ!あっ!もしかしたら、人里離れた山奥で、へんてこりんな臭そうな匂いの薬草を抜いて、飲んだり貼ったりしたんでしょうか?もしくは、食事代わりに、そのまま食べていたのかもしれませんよ!」と決めつけていた。
戦闘員は、自分たちこそ、魔物を目指しているくせに、人のことを魔物だと決めつけて、悪口を言っていた。
頭領は、戦闘員の言うことは、もっともだと思った。しかし、その仮定が成り立つとすれば、あの腰痛で、どうやって山奥に行ったのだろうかと疑問だった。
急に、思い立った頭領は「しかし、いくら腰痛をすぐに完治できても、このワシのデビルグリードをいかにあの敏郎でも潰せるはずがない!」と戦闘員に、エコーズに勝利できると思って、余裕の発言をした。
続けて「千鶴の破壊力といい、敏郎の底力や回復力、あいつらは、絶対に魔物じゃないか?ぜひとも、こちらに入団してほしいもんだな!」と冗談交じりに言った。これは、空威張りの発言だった。あまりの敏郎の回復力の早さに、嫌みのように言ってみたい気分になっていた。
ちなみに、敏郎は楓梨の回復魔法で、腰痛は、すぐに完治していた。千鶴と敏郎の戦闘での馬鹿力は、朏家、特有のものだった。さすがに、回復魔法は楓梨に頼るしかなかった。




