第84話
頭領は戦場で軍勢を率いる際に用いた指揮具の采配を用意していた。この日で、エコーズは消滅だと思っていたからだ。
頭領は戦闘員たちに「エコーズに向かって、いけー!最後のトドメを刺せー!」と采配を振るった。
健たちは頭領たちに走り寄ろうとした。しかし、敏郎の速度は遅く、それに合わせて、健、阿蘭、楓梨は、ゆっくりとスローペースで、歩いているのかと思うほどの低速だった。
頭領は健たちに「お前たち、なにやってるんだ?走り方、滅茶苦茶、遅いぞ!やる気あるのか?」と批判した。
そして、いつも通り、健、阿蘭、楓梨は、パンチキックで応戦した。楓梨は千鶴が抜けたが、健たちの足手まといにならないようにしていた。
敏郎は、ゲートボールのスティックを2本、紐で背中にくくりつけて、持参していた。そのスティックを背中から外して、そのスティック2本を二刀流にして、振り回し、その何回かの振り回しが、バイト戦闘員たちにヒットした。
バイト戦闘員たちは悲鳴を上げ、てんでに逃げた。逃げ遅れたバイト戦闘員は敏郎に捕まり、なぎ倒され、敏郎は足で逃げないように押さえ込み、スティックで、トドメを刺した。「助けてくれー!!!」というバイト戦闘員の悲鳴が響いた。何人かは犠牲になった。
バイト戦闘員たちは、怖がった。
頭領は思わぬ展開に驚いた。「信じられない!あのじいさん、強すぎだろ!どうなっているの?教えて!」と信じられない様子だった。
そして、頭領と戦闘員たちは不利な状況だと判断して、命からがら消えた。
健たちは敏郎を取り囲み、労をねぎらった。
敏郎は健たちに「皆様の足手まといにならず、こうしてお役に立てたのは、健さんはじめ皆様のおかげです。ありがとうございます。」と、お礼を言って、深々と頭を下げた。
ニューヒーローの誕生だった。




