第82話
次の翌日のことだった。デビルグリードは空き地に集合していた。頭領は、たまたま歩道を歩いていた通行人の奥さんに、いつでも小料理屋の健たちを呼び出すように頼んだ。最初、奥さんは、頭領の頼みを拒んでいた。頭領がおかしな格好をしているので、警戒したようだ。しかし、頭領にとっては、戦闘の衣装姿は光り輝き、勇ましく素晴らしいものだと思い込んでいた。頭領は、一案が浮かんだ。頭領は、奥さんに「奥さんのような美人と話すと、健たちというやる気のないやつらは、やる気になるんです!美人にメロメロなんです!ぜひ、奥さんの美しさの、お力が必要なんです!奥さん以外、美しい適任者は他にいません!ぜひともお願いします!」と奥さんに自尊心をくすぐり、喜ばせて、褒めちぎって、頼んだ。頼まれた奥さんは、一応、褒められたので、しぶしぶ、健たちに伝達しに行った。
この日、頭領のスマホは充電切れだった。それで、通行人の奥さんに頼んだのだった。いつもの戦闘員をはじめ、バイト戦闘員たちもスマホを持参していなかった。これには訳があって、頭領に戦闘の集合の依頼があった時、クリーニング店の配達や併設のコインランドリーの雑用で追われていて、すぐに応じたので、スマホを忘れて、不携帯となった。しかも、頭領から千鶴が欠席と聞いたので、今日こそ、エコーズを倒せるとバイト戦闘員たちは意気込んでいた。それで、急いでいた。
いつもの戦闘員は「うまくいきましたね!奥さん、しぶっていましたが、うれしそうに行きましたね!さすが、頭領です!あの奥さん、押しに負けましたね!」と褒めた。
頭領は、いつもの戦闘員に「うん!うまくいったぞ!スマホのバッテリーが切れて、ガッカリしたが、通行人がやる気のある奥さんでよかった!これは幸先がいいぞ!千鶴がいないこの時に、エコーズを潰すべきだ!このチャンスを逃さないようにしよう!」と熱く語った。やる気満々だった。
いつもの戦闘員も頭領に「千鶴のいないエコーズなんて、すぐに木端微塵にやっつけられますよ!」と余裕の口ぶりだった。
頭領も「千鶴がいないので、エコーズは大ピンチだろうな!」と、いつもの戦闘員に笑った。
いつもの戦闘員も「千鶴がいないエコーズは、例えて言えば、ミルクを入れないコーヒーのようなもんでしょうね!」
頭領は「うまい!おぬし、なかなか、おもしろいことを言うようになってきたな!さすがワシの1番手下じゃ!」と、いつもの戦闘員を褒めた。
いつもの戦闘員は「恐縮です!ありがとうございます!」
頭領と、いつもの戦闘員はエコーズに勝てると思い込んで、上機嫌で、この日も、なかなか来ないエコーズをワクワクして待ちかねていた。




