第61話
次の日の昼過ぎのことだった。 スマホが着信音を鳴らしていた。 健は、それに気付いていたが、スルーして、タブレットに集中していた。
タブレットは、メロディーを奏でていた。画面に、タブレットばあちゃんが現れた。 「こんにちは。トメです。 ばばあネットステーションの時間です。 地域の話題をご紹介します。」 と語っていた。
健は、錦小路に誘われて、昨夜、キャバクラに行って、疲れていた。 ゆっくりしながら、いつでも小料理屋の話題のネタになるかと思い、タブレットを見ていた。
阿蘭がタブレットを見ている健に 「スマホ、鳴ってるよ。」
健が「ああ、またデビルグリードの頭領だな。スマホの発信者の名前が頭領と出ている。 わかっているけど、今、タブレットを見るので、忙しいんだ。 話題のネタ作りも売り上げの内だからね。」
頭領は健にスマホの電話番号とメールアドレスを事前に聞いていた。 頭領は、エコーズが、戦闘に、なかなかいつも来ないので、しつこく聞いた。仕方なく、健は、頭領に教えた。
阿蘭が「そろそろ戦闘に行かないと、まずいんじゃないか?それにしても、昨夜、面白かったけど疲れたなあ。」
健は「じゃあ、仕方ないな。行くとしようか? また、次の機会に、ばばあネットステーション見ようっと。」 と言って、重たい腰を上げて、頭領の留守電のメッセージを聞いた。
留守電のメッセージの内容は、こういうものだった。 “ワシだー!早く来い!いつまで待たせるんだ!A公園で待ってるんだぞ!バカ! ”だった。
頭領は、いつもは、しつこく何度も健に電話をするが、昨夜のキャバクラの疲れで、この日は、しんどくて、待ちきれず、留守電のメッセージを入れておいた。
A公園で、頭領と、いつもの戦闘員たち10人は、エコーズ4人が来るのを待っていた。
いつもの戦闘員が頭領に「あいつら、呼び出しても、来ませんね。それにしても、昨夜、錦小路にアルコールを飲まされたうえに、夜更かししたので、眠くて辛いですね。」
頭領も「昨夜は、キツかったな。ワシらと、バレてはいないだろうが、今日、ここで、戦っていた方が、まさか昨夜、キャバクラにいたとは想像できないだろうからな。 おぬし以外の戦闘員は元気で、スタミナがあるから、エコーズに対戦する能力はあるだろうからな。」 と言って、携帯折りたたみイスに座り込んだ。
いつもの戦闘員は「そういえば、怪人は、どうしたんですか?召喚はエコーズが到着してからですか?」と頭領に尋ねた。
頭領は「あっ・・・。忘れた・・・。大概は、待機させているが、今日はマジで忘れてきてしまった・・・。」 と情けないように、つぶやくように言った。




