第187話
2人で、話している時に、配達から戻らないバイト戦闘員が戻って来た。
いつもの戦闘員は「ああっ!無事だったんだ!よかった!」
頭領は「ワシの可愛い子羊が戻って来たぞ!」
頭領は、ことのほか喜んで、戻った戦闘員を抱きしめて、泣いた。
それを見て、いつもの戦闘員は、もちろん、他の戦闘員たちは、拍手をして、もらい泣きした。
戻ってきたバイト戦闘員は「それが、大変だったんですよ!車をこすったと因縁をつけられました!」
頭領は「ええっ!?なんだそれ?」
戻ってきたバイト戦闘員は「20万円よこせって言われたんです!それで、どこに勤めてるかって言われたので、この店の名前を言ったら、千円よこせって言いました!それで、それでも高いと言ったら、『今日は運が悪い!チェッ!消えろ!ボケ!俺の前に2度と現れるなよ!』と言って何も要求しないで、行ってしまいました。よかったです!」
頭領は「・・・・・・。それって、うちのクリーニング店がヘボってことじゃないか!高額金を要求されろ!うちに張り込まれたり、脅されたり、嫌がらせをされるぐらいになれ!」
いつもの戦闘員は「そんな、頭領!無茶苦茶ですよ!でもよかったです!被害がなくて。よくやったぞ!バイト戦闘員!」
戻ってきたバイト戦闘員は「いいえ。それにしても、相手も足元を見てるもんですね。それはそうと、頭領、喜んでください!B級のいつものパン屋で、なんと!食パンの耳の大袋3袋も買えましたよ!ひょっとしたら、明日、休みなので、ストックの残り物の耳かもしれませんが・・・。」
頭領は「それは上出来だ!では、料理の上手な戦闘員にパングラタンやフレンチトースト風に作ってもらおう!あの店の女将さんは、たらたら説教こくが、安くて、それなりの味なので、許せるな。」
戻って来たバイト戦闘員は「大賛成です!僕は、オニオングラタンスープがイチオシです!」
頭領と戻って来たバイト戦闘員と、いつもの戦闘員は、大喜びだった。
頭領にしても、高額な金額をぼったくる輩から要求されるのは、不本意だった。これから、大阪行きに費用がいるので、節約したいのが本音のところだった。
頭領は「パンの耳、助かった!あのパン屋は、傾きかけているが、夫婦2人経営の上に、店も自分の店で、古家なので、安価で、それなりに安い。」
戻って来たバイト戦闘員は「パンの耳は、安くてうまいです。」
頭領は「すまんのう・・・。ワシが不甲斐なくって・・・。今に、高価なパンを腹いっぱい食べさせてやるからな!」
戻って来たバイト戦闘員は「ありがとうございます。頭領にそう言っていただいて、僕は嬉しいです!僕らは、頭領が好きでやってるんですから、この組織は、最高です!」
頭領は「嬉しいぞよ!」と、むせび泣いた。
頭領と戻って来たバイト戦闘員と、いつもの戦闘員は、3人を囲むように、他のバイト戦闘員たちも、またしても拍手した。
そこに、町会長の上川が再び来店した。「お取込み中すいません。さっきは、すいませんでした。高山さんと中本さんに聞きました。なんだかお宅が忙しいらしいんですね。知らなかっただけで、嫌みでやったわけではありません。おにぎりは、副班長の人に頼みました。お宅の仕事を専念してください。」
頭領は「わかったわかった。早く帰ってくれ!」
頭領があまりにもすごい剣幕だったので、上川は、追い払われた。
その様子を見て、いつもの戦闘員たちは、拍手喝采した。
頭領は「いやぁ~・・・それほどでも・・・。」
いつもの戦闘員は「とりあえず、めでたしめでたしですね。あとは、片付けと、請けた仕事の処理だけですね。それにしても、おかしな話ですね。悪の組織の頭領に班長をさせるとは、言語道断です!」
頭領は「ここに基地を構えているので、町内会の班長が回ってきても致し方ないがなぁ・・・。あきらめの境地だ・・・。」
いつもの戦闘員は「それはそうですが、頭領をあごで使うとは、許せませんね!」
頭領は「それもそうだな。町会長の上川のやつ、這う這うの体で、逃げ去ったな!いつも、町会の雑用は、町会のババアや子分にさせて、偉そうに指示ばかりしやがって!お前さんがどれほどのものなんだ!?しかし、こんなことしていられないぞ!早くやり遂げないとな!」
いつもの戦闘員は「それでこそ頭領です!僕たちには、輝かしい未来が待ってるんですから!」
それを聞いて頭領は、再び目がウルウルした。
いつもの戦闘員は「及ばずながら、僕も、請けた難しいクリーニング品の処理をお手伝いします。」
こうして、頭領と、いつもの戦闘員は寝る間も惜しんで、クリーニングを仕上げた。そうして、健たちを追いかけて、大阪に向かう健たちの乗る新幹線にやっとこさ同乗することに、こじつけた。