第186話
いつもの戦闘員は「頭領、それにしても、また厄介なクリーニングの品物が増えましたね!」
頭領は「ほんに、そうだ!こんな時に限って、さっきのようなピーチクパーチクのおばさんが厄介なものを持ってくる!早く、仕上げないとなあ・・・。」
いつもの戦闘員は「それはそうと、配達の戦闘員たちも帰りが遅いですね。」
そう、いつもの戦闘員が頭領に言った時、1人のバイト戦闘員が戻って来た。
バイト戦闘員は、いつもの戦闘員に「あれっ?僕より早く出たバイト戦闘員が帰っていないですね・・・。まさかこの先でバイクと車の事故があったらしいけど、それではないですよね?」
頭領は「うんうん・・・。」
いつもの戦闘員は「あ!そういえば、バイト戦闘員は、バイク不得意だと言っていたなあ・・・。」
頭領は「ええっ!?ワシの大事な戦闘員がそんなことあってたまるもんか!」
いつもの戦闘員は「そうですよ!取り越し苦労ですよ!連絡もないし、大丈夫ですよ。」
続けて「でも、あの距離で、この時間になっているのは、おかしいですね・・・。」
頭領は「ああ・・・。そうだな・・・。」
頭領は、一抹の不安を感じた。
頭領は、健たちを追いかけることや仕事の山積みやバイト戦闘員の帰りが遅いので、考え事をして、吊るしてあった大量のハンガーを下に落下させてしまった。かなりの量だった。
いつもの戦闘員は、洗濯のハンガーを拾い集めようとした。
頭領は「すまない・・・。考え事をしていた。」
いつもの戦闘員は「こんなことよくあることですよ。」
そこに、町会長の上川が現れた。
上川は「近所の吉岡さんに不幸がありました。お通夜のおにぎりを作るのは恒例です。お宅が今年班長なので、おにぎりを作ってください。おにぎりは300個です!ご飯は、炊く係を副班長がやるので、持ってきます。ごま塩もみんなで運んできますから。おにぎりを握るだけです。簡単なことです。」
上川は、鼻にかかった太い声で、簡単そうにおにぎり作りを依頼した。
頭領は「なにぃぃぃぃぃ!!!ワシは、仕事が山ほどあって、おまけに手下が戻ってこない!そのうえに、大量の洗濯物が落下して、やることだらけだ!おまけに、ワシに、おにぎり300個握れだと!?どうやって、やれって言うんだ!!!パニックで、ワシは頭イカレそうだ!!!」
頭領のあまりの勢いで、上川は「すいません。お取込み中、失礼しました!」と、そそくさと帰って行った。
いつもの戦闘員は「頭領!素晴らしい追い返し方でした!お見事です!感服仕ります!それにしても、僕ら、悪の組織がおにぎり・・・おにぎりは、鬼ぎりといいますから、皮肉ですね。」
頭領は「つい、イライラした・・・。」
興奮した頭領は、我に返った。
いつもの戦闘員は「そうだ!頭領、そうですよ!こんな時こそ、団結が必要です!」
頭領は「じゃあ、今日も決めてみるか!ではいくぞぉぉぉ!デビルグリードに栄光あれ!!!」
戦闘員たちは「ヒー!!!」を全員で決めた!
頭領は、十分に満足した。
頭領の散らかしたハンガーの付いた洗濯物の山の合間を縫って、“ヒー”は、見事に決まった。