第183話
頭領は思った。なぜか、あのドケチの健が、コーラと、うどんをサービスした。立ち退きで、気弱になっているくせに、健のことだ、恐らく、このサービスを売り上げのどこかで、チャラにしようと思っているだろう。ところで、健が、昔、遊んだ玩具を口にしたのがインパクトが強かった。それは、死んだ勉君と遊んだ、ビー玉遊びとベーゴマだった。健がそう言ったので、大好きな勉君を思い出した。しかし、不思議に、この時、死んだ勉君と健が重なり合って、走馬灯のようだった。
戦闘員は「頭領!祝いですよ!飲みましょう!ところで、なぜ、今日はビールじゃなくてコーラなんですか?」
頭領は「う~~~ん・・・・・・。」と歯切れの悪い返事だった。
戦闘員は「めでたいですね!!!乾杯です!!!」
戦闘員は1人盛り上がっていた。頭領は、仕方なく戦闘員にグラスを合わせた。
頭領は、鍋焼きうどんを食べだした。
戦闘員は「エビの天ぷらがサクッと揚がっているから、衣が、うどんの汁に吸われないうちに食べちゃお!鶏のささ身、かまぼこ、シイタケ、ネギが、うどんと絡まって、うまいですね!」
頭領は、何も言わず、黙々(もくもく)と鍋焼きうどんを食べていた。
頭領は、始終無言だった。
戦闘員は頭領が、健たちエコーズを根絶やしにするようなプランを立てているのかと思っていた。
戦闘員は、戦闘員で考えていた。いつでも小料理屋が閉店したら、料理のうまい小料理屋を探そうと、目論んでいた。もちろん、頭領と同伴するつもりだった。いつでも小料理屋は、エコーズの情報取りが名目で同伴していたので、これからは、頭領の疲れを癒すためと頭領に言ったものの、何かほかにもっと強力なインパクトのある理由を探そうとする戦闘員だった。なんとしても頭領に食らいついてでも、料理を食べるお相伴を狙う戦闘員だった。