第182話
健は阿蘭に料理の下ごしらえを頼んで、近くの不動産屋に行った。1件目に行った所は狭く家賃は安かったが、訳あり物件だった。2件目は家賃が高く、駅とバス停から遠かった。
帰ってきた健は阿蘭に「やっぱり、いい所はないよ。店をたたむしかないな・・・・・・。」と弱気だった。
阿蘭は「なんとかなるさ!」
楓梨は「健さん、頑張りましょう!」
千鶴は「ここで踏ん張るのが男だ!!!」
千鶴はどこまでいっても気合だった。
開店の時間がきた。客が次々と店に入ってきた。健は気の抜けた状態で、店を切り盛りしていた。
頭領と、いつもの戦闘員がやって来た。
楓梨に2人は、案内された。
頭領は、いつもとは違う店の雰囲気を肌で感じた。
頭領は楓梨に「楓梨ちゃん、気のせいか、店の人たち、みんな元気がないね。」
楓梨は「実は、この店が存続の危機なんです!大家さんに立ち退きを言われて困ってるんです!なんだかスーパーにするらしいんですよ!」
頭領は「なんだとぉぉぉぉぉ!!!!!」と思わず叫んだ。
戦闘員も「えええええええ!!!!!この店が閉店!?信じられないなー!!!」
楓梨は「3か月しか猶予がないんですよ!」続けて「失礼しました!内輪のことを話して、申し訳ありませんでした!ご注文は、何にしますか?」
頭領は「あっあっ・・・・・・。そうだね。コーラと鍋焼きうどんね。」
楓梨は「今日は軽く済まされるんですね。承知しました。」
楓梨が厨房に戻るのを見計らって、戦闘員は「頭領!聞きましたか?とうとう、この店、閉店のようですね!この店が閉店するので、情報を探る必要性がなくなるので、頭領にご同伴できなくなるのは、残念です。でも、頭領の疲れを癒す次の小料理屋は必要なので、探しておきます!もちろん、僕も、同伴させていただきますよ!ところで、小料理屋が閉店=エコーズも解散ですね!戦士運営団体も資金難なので、やはり、エコーズ存続も出来ませんね!頭領の願望がやっと叶って、僕は自身のように、うれしいです!頭領の喜びは、僕の喜びです!」
戦闘員は、ちゃっかりと、次の同伴できる小料理屋を探そうと思っていた。しかし、これだけ、うまい店があるのかと疑問だった。このことが、飲み食いしたい戦闘員にとっては重大問題で、死活問題にも値するものだったので、エコーズ解散は、本当のところ、二の次だった。
戦闘員は、いつもながら、頭領をよいしょしていた。
戦闘員は頭領の次の言葉がないので、頭領に「どうしたんですか?頭領!もしもしー!聞いてますかー?」と尋ねた。
頭領は「は?」と、まるで誰も話していないように感じていた。
戦闘員は、てっきり頭領が喜ぶものだと思っていたのに、腑抜け状態なので、驚くばかりだった。
健が鍋焼きうどんとコーラを運んできた。
健は「お待たせしました。鍋焼きうどんとコーラです。」
頭領は、健にまで、無言だった。
健は「社長さん、楓梨ちゃんから、お聞きでしょうが、実は、この店が立ち退きになったんです。なかなか、いい物件がなくて、困ってるんです。小さい時から、この店で育ったので残念です。めんこやビー玉遊び、ベーゴマをして思い出があるので、離れたくないんですが、仕方のないことです。」続けて「コーラは大きなカップで、鍋焼きうどんのうどんは、大盛りにしておきました。今まで本当にありがとうございました。」と悲しそうだった。
今にも、いつでも小料理屋が閉店しそうな悲壮感が漂っていた。