第162話
異世界から日本に戻った頭領は、不在の間、クリーニング店で客から預かった衣類や毛布類が溜まっていて、クリーニングすることに追われていた。留守番のバイト戦闘員が留守を引き受けて、店を切り盛りしていたが、頭領でないと、対処できない物があって、頭領は大忙しだった。
対処した品物をバイト戦闘員たちは小さなワゴン車で、配達していた。
この日、頭領と、いつもの戦闘員は自転車だった。
2人でツーリングしながら、配達していた。
ショッピングモールに来た時だった。
頭領は異世界に行っていた疲れもあって、戦闘員に「ここで、自販機のジュースでも飲んで帰ろう。」と誘った。
戦闘員は「いいですね!お供します!」
頭領が、ジュース代を2人分、戦闘員に渡した。戦闘員は、自販機でオレンジジュースを買って、ベンチで2人で、飲んだ。
戦闘員は「ありがとうございます!このオレンジジュース、うまいですね!甘くて、ちょっと酸っぱくって、初恋の味ですね!」と言って、飲んだ。
頭領は「ほんに、おぬし、うまく言うなあ。」
戦闘員は「恐縮です!」
頭領は「それにしても、あの拾った石で、ひどい目にあったな!こうしてオレンジジュースをおぬしと日本で飲めるとは夢にも思わなかったぞ!よく命があったもんだ!」
頭領は、その石は、もう無いので、余裕の笑いをしていた。
戦闘員は「しかし、あの石、なんだったんでしょうね?」と頭領に尋ねた。
頭領は「そうなんだ。一体、誰がコインランドリーの場所に落としたんだろう?謎は深まるばかりだな。拾った命は大事にしないとな!」
頭領は拾った石と拾った命をひっかけた。
戦闘員は「おっしゃる通りです!頭領!拾った石と拾った命、さすが座布団10枚です!それにしても、謎が謎を呼びますね!」と頭領に応えるように言った。
2人は、オレンジジュースを飲み干した時に小学校高学年の男の子3人が通りがかった。手にはフィギュアを持っていた。
エコーズのフィギュアだった。そのモデルは、健に似ていた。