第146話
頭領と戦闘員たちは、空き地で、待っていた。この日は、いつもよりは早くエコーズは到着した。
エコーズ4人が近くまで来て、頭領たちに近づこうとしていた。
その時、健が「あっ!100円玉が落ちてる!ラッキー!運がツイてる!しかし、届けないとな。」と100円玉を見つけて、大きな声で叫んだ。
100円玉を拾った健は頭領に「エコーズ4人、ただ今、参上いたしましたー!」と機嫌よく名乗りを上げた。
頭領は「なにが、“ただ今、参上いたしましたー”だ!嫌に今日は調子がいいな!いつもよりは早く来たな!名乗りを上げたのも自分からやったな!いつもは強制しても反抗的な言い訳しかしないくせに、逆にこっちの調子が狂いそうだ!」と吐き捨てるように言った。
頭領は、健が愛想よく名乗りを上げたので、腹が立った。いつもは、やる気なく名乗りも上げない態度にも、ムカつくが、今回は、調子よく名乗ったので、逆にムカついた。どちらにしろ、頭領をイラつかせる健だった。
頭領は、エコーズを迎え撃つつもりだった。その時、頭領も健と同じく偶然にも、100円玉が落ちているのに気が付いた。
頭領は「あっ!こんなところに100円玉があるぞ!気付かなかったなあ!後で届けよう。」と言って、ポケットにしまった。
頭領は、気を取り直して、エコーズたちに「待っておったぞ!エコーズ!今回は、少しだけ早かったな!今日はドラキュラ怪人を用意している!どうだ!恐れ入ったか!」
頭領は「ドラキュラ怪人!エコーズ4人を攻撃しろー!あいつらの血を吸ってこい!」と命令した。
頭領は健たちに「このドラキュラ怪人に血を吸われると、ニンジンが食べたくなって、止まらなくなるんだ!」と叫んで、怖がらせた。
健は「ヒエ~~~~~!!!!!」とか、楓梨は「キャーーーーー!!!!!」とかオーバーに驚いていた。
頭領は、健と楓梨が大きな声を出して驚いたので、計画通りに進むようなので、愉快だった。
頭領はドラキュラ怪人に「さあ、エコーズ4人に向かっていけー!思いっきり暴れてこい!あいつらの血を吸いまくれ!」と命令した。
ドラキュラ怪人は「アイアイサー!!!!!」と叫んで、エコーズに向かっていった。
戦闘員たちもエコーズに向かっていった。
ドラキュラ怪人は楓梨を狙おうとした。楓梨の手をつかもうとした時だった。
千鶴がドラキュラ怪人に「なにしやがるんだ!!!!!コノヤローが!!!!!楓梨は、あたしのものだ!!!!!誰にも渡さんぞ!!!!!ゴラァ!!!!!」と言ったと同時に千鶴の右ストレートのパンチと左のフックをドラキュラ怪人の口に連打した。ドラキュラ怪人の歯は門歯2本はじめ、全部というほど、ボロボロと折れた。ドラキュラ怪人は、バッタリとその場に倒れた。
この恐ろしい光景を見た戦闘員たちは口々に叫んだ。口々に「助けてくれー!!!」とか「化け物だー!!!」とか「逃げろー!!!」と、てんでに叫んだ。
頭領は「なんてことだ・・・。なぜ、こんなことになるんだ・・・。」と信じられないように、つぶやいていた。
いつもの戦闘員がドラキュラ怪人を頭領のところまで引きずって連れて来た。そして、頭領たちは全員消えた。
アジトのクリーニング店に戻った頭領と、いつもの戦闘員。
いつもの戦闘員は「せっかくドラキュラ怪人で勝てると思ったのに、千鶴のバカにまたしても、やられましたね!次のチャンスを待ちましょう!」
頭領は「そうだな!まあいい!100円玉拾ったからな!届けないと。」と言って、ポケットから硬貨を取り出した。
見ると、おもちゃの硬貨だった。
頭領は「あっ・・・。これ、おもちゃじゃないか・・・。どこまでもツイてないな・・・。」と、いつもの戦闘員に言った。
頭領は「なんでこうなるの?教えて!ドラキュラ怪人は壊されるし、100円玉は、おもちゃだし。」
いつもの戦闘員は「お疲れ様でした!たまたま運が悪かっただけですよ!」と落ち込んでいる頭領を励ました。
頭領は「こんな日は、いつでも小料理屋で、憂さ晴らしでもするか!もちろん、情報取りがメインだ!」と、いつもの戦闘員を誘った。
いつもの戦闘員は「喜んでご一緒させていただきます!」と言った。どこまでも、忠実な戦闘員だった。
ちなみに、戦闘に遅れてきた健の拾った100円玉も偽物だった。
いつもより早く到着したエコーズも皮肉にも偽物だった。