第135話
頭領は「ワシはな、今まで誰にも言っていなかったことがあるんだ。悲しいことなんだ。ワシには、幼馴染がいたんだ。名前は勉という名前だった。だったというのは死んだからだ。」
戦闘員が「ええ!?死んでしまったんですか・・・。可哀想に・・・。頭領も、がっかりされたでしょうね・・・。」と頭領から聞いて、自身のように感じた。
頭領は「そうなんだ。勉君は、ワシと同級生だった。小学校1年生の時、勉強が学年でトップだった。プロ野球選手になるのが夢だった。ところが、勉君のお母さんは、相当な遊び人で、浮気性で、いろんな男の人と付き合っていたんだ。勉君のお父さんが何百回と、激怒したけど、お母さんは、やめる気は毛頭なく、信じられないが、注意されればされるほど、浮気をしまくった。つける薬はなかったんだ。とうとう、お父さんは、我慢の限界がきて、強引に、離婚した。そして、お母さんを追い出したんだ。その後、お父さんが働きながら勉君の面倒を見た。2人で、野球のキャッチボールを楽しんだりしていた。そのうえ、勉君の勉強も見ていた。それで、勉君は賢かったんだ。健気に2人で生活していたんだ。ワシも、時々、勉君に勉強を教えてもらっていたもんだ。そして、ビー玉遊びとベーゴマで仲良く遊んだものだ。ワシと勉君は仲が良くて、兄弟のような関係だった。それで、勉君は、お母さんがいなくても楽しそうだった。だけど、あんなお母さんでも、いないと、悲しそうだった。時々、寂しそうな顔をする時があったが、お父さんが心配するので、無理に笑顔を取り繕っていたのだろうと思った。そう思うと逆に可哀想だった・・・。」
戦闘員は「泣ける話ですね。」
頭領は「ある時、勉君は、同じクラスの男の子1人と横断歩道を青信号で手を挙げて歩いていた。そこへ、時速100キロのスポーツカーが飛び込んできた!一緒にいた男の子は、なぜか、かすり傷1つ無く助かった。しかし、勉君は即死だった・・・。ひどい話だ・・・。勉君のお父さんは、スポーツカーのひいた人の家族の人に“人殺し!”と叫んで罵ったが、勉君は元に戻ることなどなかった。ワシも、悲しかった・・・。ワシも最後だとわかっていたら、もっと勉君と話をしたかった。遊びたかった。勉強も教えてほしかった。プロ野球選手になる夢の実現を見ぬまま亡くなった勉君は、さぞ心残りだったろう。」
戦闘員は「そんなことがあったんですか・・・悲しいですね・・・。」と言った。他に何も慰めの言葉も見つからなかった。
さらにこの後、頭領は勉君のことについて話した。それは、戦闘員にとって、ショックな内容だった。