第129話
爆弾怪人を動員して戦闘した日の夜、頭領と、いつもの戦闘員は、この日も、いつでも小料理屋に出向いた。
ドアを開けると楓梨が立っていて2人を出迎えた。
楓梨は頭領と戦闘員をソファー席に案内した。そして楓梨は、いつも通り、笑顔で「いつもありがとうございます。社長さん、何にしますか?」と頭領に尋ねた。
立っていても楓梨は普通通りで、別段、いつもと変わらなかった。
頭領は、楓梨に脚の痛みがなさそうなので、少し怪訝そうに楓梨を見た。そして、楓梨に「まず、ビールと塩キャベツ2人前、お願いね。」と軽くオーダーした。
楓梨は「ありがとうございます。社長さん、少し疲れているんですか?お体に気を付けてくださいね。無理しないでくださいよ。楓梨からのお願いです!」と心配そうだった。
楓梨は、頭領が浮かない顔をしているのを見て、体調が悪いのかと思った。しかし、頭領は頭領で、今日の昼過ぎの楓梨の転倒で、すぐに脚が治っているようなので、不思議に思っていた。頭領たちは、楓梨が回復魔法ができることを知らなかった。
しかし、頭領は、楓梨の優しい言葉に若干舞い上がっていた。
頭領は「楓梨ちゃん、いつも優しいね。この店に来るのは、料理がうまいのはもちろんだけど、目当ては、もちろん、楓梨ちゃんで、楓梨ちゃんに会えるかな~~~っと期待して来ているんだよ!」
頭領は戦闘員に「君も、そう思ってるよね?」と促すように強要した。
戦闘員も頭領に合わせるように「そうなんです!僕も、料理も気に入っているんですが、やはり、目当ては楓梨さんです!」と喜ばせた。
楓梨は、頭領と戦闘員に「わああ!うれしい!ダブルで褒められるなんて!今日は何かいいことありそう!ありがとうございます!」と言って、ルンルン気分で、厨房に戻って行った。