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第116話

頭領は健にレスキューを求めた。「おい、健!見てないで、なんとかしてくれ!お前ら、前回も困っているワシを助けなかっただろう!今回はリクエストに応えろ!正義のヒーロー!」と頭領は健に怒鳴った。


人質に幼稚園児を使おうと企んだことの結果が、この有り様だった。


次に、頭領は名案が即興(そっきょう)で浮かんだ。自分につきまとう幼稚園児をエコーズに押し付けることだった。


頭領は幼稚園児に「ワシも一緒に遊びたいよ。だけど、あのおにいちゃんたちが遊びたいって願ってると、ワシは思うんだよ!あ~、残念だな~。ワシも遊びたいけど、おにいちゃんたちに君を仕方なく譲るよ。」と残念そうに、優しくなだめた。


それを聞いて、健が幼稚園児に「おにいちゃんが遊んであげる!」と誘った。


健は、ここで、頭領に貸しを作って、弱みにしてやろうと思った。頭領も健も、自分に都合のいいように幼稚園児に接した。


しかし、幼稚園児は頭領と健の考えとは裏腹に「嫌だ!嫌だ!このおじいちゃんがいいんだよ!」と駄々(だだ)をこね出した。


健は、仕方なく、ほぼ強引に幼稚園児を頭領から無理矢理、引き離して、抱っこして、自分の陣地に連れて行った。


健は復活してエコーズに参加している千鶴や楓梨のいる場所に幼稚園児を連れて行った。


健は「おねえちゃんたちと、遊んでごらん。」と幼稚園児に勧めた。


楓梨は幼稚園児が、可愛いので、遊ぼうと思った。千鶴は、面倒くさいので、事務的に相手をしようと思った。


しかし、幼稚園児は楓梨と千鶴に反抗的な態度を示した。「おじいちゃんと遊ぶんだい!」と、わがままを通した。そのうち、幼稚園児は、楓梨と千鶴をシバきだした。


止めようと健と阿蘭は、必死だった。


見ていた、いつもの戦闘員は「千鶴はともかく、楓梨に遊んでもらえて、いいなぁ。しかし、もったいない話ですね!幼稚園児、楓梨らを嫌ってますね!なかなかいいシバきっぷりですね!今すぐにでも、デビルグリードに勧誘したいもんですね!」と頭領に進言した。


頭領も「なんでこうワシは好かれるのか、ワシには、さっぱりわからん!しかし、ワシのこと、おじいちゃんと気に入ってるんだから、いつか入団させたいもんだな!」と、いつもの戦闘員に、しみじみと語った。


その時、幼稚園児の母親が自転車で買い物から戻り、幼稚園児を迎えに来た。


母親は「待たせたね。早く帰ろう。おねえちゃんたちに遊んでもらってたの?」


幼稚園児は「うん。」と返事をした。


母親は「遊んでもらって、ありがとうございました。失礼します。」と楓梨と千鶴に礼を言った。


楓梨は礼を言われて、成り行き上「いいえ、どういたしまして。」


そして、千鶴は無言だった。


幼稚園児は「嫌だぁ~、もっと遊ぶんだい!」


母親は健たちを見回してから、幼稚園児に「ダメよ。おねえちゃんたちは、お仕事なんだから。」


幼稚園児は「もうちょっと遊びたかったなぁ・・・。面白かったよ!おじいちゃん、かっこよかったよ!」


母親は自転車に幼稚園児を乗せて、健たちに頭を下げた。


母親は「おねえちゃんたちに、バイバイしなさい。遊んでくれたんだからね。」


幼稚園児は、バイバイしながら母親に「なんのお仕事なんだろう?」


母親は「面白い格好をしているから、たぶん、駅前の下町演劇場の人たちよ。テレビのお笑いのような人たちよ。漫才師みたいに人を笑わせるお仕事よ。」


幼稚園児は「ああ!それで、遊んでいて、面白かったんだ!」と納得した。


母親と幼稚園児は、自転車で、去っていった。


エコーズとデビルグリードは、2人を見送って、立ちすくんでいた。下町演劇やお笑いの人と言われて、全員、拍子抜けだった。

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