第106話
フランケンシュタイン怪人が狂って倒れた日、この日も、頭領と、いつもの戦闘員は、いつでも小料理屋に行った。
ドアを開けると、敏郎が頭領と戦闘員を出迎えて、席に案内した。
敏郎は、頭領に「いつでも小料理屋に来ていただき、ありがとうございます。今日で、私は、ここのバイトを辞めることになりました。短い間ですが、お世話になりました。また、ご縁がありましたら、ここで、また、お世話になりますので、お願いします。孫の千鶴が明日から復帰しますので、私と同様、至らないところもありますが、引き続き千鶴をよろしくお願いいたします。」と謙虚に言うと深々と頭を下げた。
頭領は「え!?ウソー!敏ちゃん、今日でお別れとは、残念だなー!」と一応、残念そうだった。
信じられないことだが、短い期間の間に、頭領は、敏郎と度々、いつでも小料理屋や戦いで、接して、いつの間にか、友達か、知り合いのように感じてしまった。
頭領は敏郎のことを友達のように“敏ちゃん”と呼んでしまった。辞めると聞いて、不覚にも親近感を増してしまった。
続けて、頭領は「じゃあ、記念に、写真撮影をしておこう!敏ちゃん、ワシと一緒に2人並んで、スマホ撮影しようよ!」と敏郎を誘った。
戦闘員は、頭領の提案を聞いて、自分の耳を疑った。“なぜ、敏郎とスマホなのか?”
敏郎は、少し恥ずかしそうで、辞退しようと思ったが、頭領の提案に賛同した。
まず、頭領は、自分のスマホを戦闘員に渡し、スマホ撮影をするように促した。頭領は、敏郎と一緒に、スマホ撮影をした。
頭領と敏郎のスマホ撮影は、敵同士2人の記念撮影になった。
頭領は、敏郎が辞めると聞いて、強い敏郎がエコーズから去るので、うれしかった。しかし、その反面、知り合いが去っていくような感覚になっていた。強敵の敏郎が、いつの間にか旧友のように感じていたようだった。当然ながら、スマホ撮影も自分のスマホなので、敏郎と写しても支障がないと判断した結果のことだった。
頭領は、いつでも自分の都合で事を進めていた。