手がかりを求めて
二日目。
朝。
お目覚めですか?
うーむ。良く寝た。
文豪急いで! すぐに出発よ!
なぜかドロップが張り切りだした。
どうかしたか?
それが色々分かってきたの。
儂が寝坊してる間に情報を仕入れて来たらしい。
昨日言っていた鍵なんだけど。この村のどこかに隠されてるそうよ。
今日は鍵探しをしようと思うの。
女性陣が勝手に張り切りだした。
よし。では手分けして探すとしよう。
二手に分かれる。
文豪はキルルと行動を共にする。
闇雲に村を捜索するが案の定見つからない。
そう簡単に見つかれば苦労しない。
とりあえずドラゴンについて聞いてみる。
ドラゴン? ああそれなら端に行ってごらん。
抜けるとドラゴンの王国になっているから。
ドラゴンの王国?
ああそうだ。端を超えるとドラゴンの森になっている。
奴らは凶暴で手が付けられない。
もし遭遇しても目を合わせずにすぐに退散するんだ。
絶対に倒そうなんて考えないで。
奴らは不死身だ。
不死身?
ああ。気をつけろ。悪いことは言わない近づくな!
しかしそうもいかんのでな。
爺さん。食われちまうぞ。
まさか…… ははは。
笑いごとではない。毎年何人も犠牲者が出ている。
昼間はよっぽどのことが無い限り襲ってこないが近づけばそれだけ確率が跳ね上がる。試してみるか? まあ近づかんことだ。
何とかなりませんか?
キルルの質問に首を振って無言で去って行く。
ドラゴン。
厄介なのが居やがるのう。
文豪?
大丈夫。問題ないじゃろ。
ぎゃああ!
ぎゃああ!
森の方から獣の鳴き声。
ドラゴンなのか?
とんでもない事態に陥った。
とりあえず心を落ち着かせよう。
食堂で腹を満たす。
名物のシーフード料理を注文。
うまかったのう。
食べ過ぎだよ文豪!
イタタタ…… あー痛い!
大丈夫文豪?
固い殻で手を傷つけてしまった。跡にならなければいいが……
キルルと二人きり。
それにしても儂についてくるとはお主も変わっているな?
オーレだって本当は王子と一緒が良かったですよ。でも仕方ないっす。
じゃんけんで負けたんだから。
キルル。どうじゃ。あんな王子なんかより儂の方が魅力的じゃろ?
どうかしてるよ文豪!
まあそう言うな。女の争いはそれは酷いものだぞ。
誰が王子の第一候補になっても気が抜けない。
何て言ってもあの顔。家柄。すぐに違う女に乗り換える。
今は本性を現してないがそのうち化けの皮が剥がれる。
奴も男だ。ただの冴えない王子ではないはずだ。
文豪!
そう怒るな。お前の為を思って言っているんだ。
何も引っ掻きまわして一人ぐらいなんて邪な考えを持っているわけではない。
ハイハイ。分かりました。考えておきます。
ちょっといいか。
男が近づいてきた。
何用?
いやね。旅の人。ここは地獄だよ。
地獄?
おっと勘違いしちゃいけない。ここより上には自由に行き来できないって意味だ。
このエリアの者の多くは魔王に反逆した。
だからここと第九エリアはそんな反逆者の墓場。
魔王を倒さない限りこの地獄から抜け出せない。
ちょっと待って。でもどうやって倒しに行けばいいの?
それはお嬢さん。内緒の話だが三つほど考えられる。
一つは第九エリアに行って三博士に頼む。
二つ目は秘密の抜け穴を探す。でもこれは第七エリアから上の話。
第七エリアに繋がる抜け穴がこのエリアにあるとまずいのさ。もちろん第九エリアに繋がる抜け穴はあるだろうがな。俺は知らん。
三つ目はドラゴン。
でもドラゴンは無敵だってさっき……
おうお嬢さん。物知りだね。でも大丈夫。
ドラゴンを操る男。
竜使いに頼めばいい。
どこにいるの?
さあ。そこまでは。後は自分たちで調べるんだな。
優しくも厳しいおじさんはどこかに行ってしまった。
ちょっともう!
まあまあ。収穫はあったんだ。よしとしよう。
キルル!
三人が合流。
仕入れた情報を交換。
この後について話し合う。
よし皆。出発だ!
とりあえずドラゴンは後回しにして第九エリアへ。
第九エリアへの行き方。
それが分かれば苦労しないのだが……
手がかりを求めこの村で一番の有力者である村長に話を聞く。
村長にしては若い。
文豪かそれよりも下だろうか。
笑顔で対応してくれた。
冒険者とは珍しい。しかしここは罪人の住むエリア。
どうかお気をつけください。
罪人? 魔王に反逆したって聞いたんですけど。
いやいや。お恥ずかしい。罪人も一緒なのです。
村長さんはもちろん反逆者の方ですよね?
昔のことです。忘れました。
一瞬笑顔が引きつった。
とりあえず今晩はここにお泊り下さい。
すぐにでも第九エリアへ行けるように手配いたしますんで。
良く分からないが村長に任せるのが一番。
村長の好意に甘えて一晩泊まることにした。
お礼を述べる。
いいですか皆さん。この世界は危険です。くれぐれも慎重に行動してください。
和室を二つ用意。
文豪と王子が一つを。
もう一つを女性陣で。
考えるのも面倒なので寝ることにした。
お休み。
横になり眠くなるまで王子と話しをする。
どう思う?
分かりません。
そうか。ちなみに誰か回してくれんか?
それは……
冗談じゃ。本気にせんでくれ。
文豪さん。そんなことよりどうやって第九エリアに行けばいいか考えましょうよ。
だがな。こうも手掛かりがないとお手上げだ。
手がかりならあるじゃないですか。
うん?
おやすみなさい。
王子は言うだけ言って相手にせずさっさと寝てしまう。
王子?
殺気?
どこからともなく人の気配。
声が漏れ聞こえるが内容までは把握できない。
おい。もう寝ちまったか?
爺さんは早いですよ。たぶん。
よし襲い掛かれ!
文豪たちに危機が迫っている。
続く




