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魔王対文豪 最終決戦

エリア1


遅い! まだか?


暴君として君臨してきた魔王。魔王に逆らう者などいない。魔王専属のお付の者にも威圧的な態度。常に恐れられている。魔王とはそういう存在。優しくしたり情を持って接するなどあり得ない。もともとモンスター。感情など持ち合わせていないが…… だから酷い仕打ちをすることはあってもされることはまずない。待たされるなどあってはならない愚行。


魔王はイライラを募らせる。

いつまでたっても運ばれてこないお食事。


あいつまたサボっているな。

魔王を蔑ろにするとは言い度胸だ。

思う存分恐怖を味わわせてやる。

ふふふ……


魔王様! 魔王様!


どこからともなく聞こえてくる。


やっと来たか。

遅いではないか!

うん?

誰ももいないではないか!


一瞬で怒りはマックスに。

我慢ができない。


どうなっておる。魔王をからかっているのか?


エリア1には極力人を寄せ付けないため手下の者が一人お世話係として待機している。

そのお世話係が戻ってこない。

それもそのはず文豪の命によって食材探しに下界へ。

いつまでたっても戻ってくることもないし食事になることもない。


痺れを切らした魔王は昇降機の方へ歩き始めた。


くそ! イライラする。

使えない奴め!


ただでさえ怖い顔を紅潮させ怒りを爆発させている。


何をしている。早くせよ!


冷静に冷静に。

魔王がこの程度で我を失ってどうする。

奴にも奴の事情があるのだろう。


魔王!

魔王様だ! 忘れたのか? この愚か者め!


魔王様。覚悟ください!

何を抜かす!


再び怒りが込み上げてくる。


ふざけるな! 私の食事はどうした?

姿を現さない手下に大声で問いかける。


早く!


ではさっそく。魔王様。お命頂戴!


何? この期に及んで悪ふざけを!

許さん! 早く姿を見せんか!


未だに忠実な手下だと思っている。

それもそのはず。どのような手を使えばエリア1に行けるのか。

今回も冒険者はたどり着けなかった。

そう勝手に解釈している。


今日が期限だと言うことも分かっている。

しかしたどり着けないのなら心配する必要もない。

奴らのことだ仮にエリア2に辿り着いてもここまで上がってくることはできないだろう。だから私が心配する意味もない。

あの老魔王でも討って切り抜ける算段だろう。

はっはは!


魔王様!

何だどこにいる?

ここです。


魔王は不覚にも誘い出されてしまう。


おい早く……

文豪に気付いたようだ。


動きを止める。

一分近く固まる。


なぜお前が? いやお前たちはここに辿り着けないはず……


運が味方したのよ。

手下も上手くあしらったしね。


さあ。逃げも隠れもせずに戦いなさい! 魔王!

ティンが前に出る。


ふん。妖精如きが調子に乗りおって。この魔王様がそんな爺にやられる訳が無いだろう! お前らもよく考えろ。今度は下界に落とすだけでは済まさんぞ!

そうだなあ。お前らの望む我が故郷。魔王の里に送ってやってもいいんだぞ。

ううん?


さすがは魔王。余裕がある。

脅しをかけて自分を優位に立たせる。

仮にハッタリだとしても誰も反論できない。


もちろん文豪も動けない。

予想外の反応。

一度やられたこともあって慎重にならざるを得ない。

魔王の圧力に後退りをするメンバー。


この魔王様を本気で怒らせるとは言い度胸だ。

もう後には引けんぞ。どうだ!

お前らが不死身なことぐらい分かっている。

だがさっきも言ったようにお前らを道連れに魔王の里に帰ることも辞さない!


文豪と言ったな?

儂を知っているのか?

それぐらいは報告が入っている。


お前のへたくそな刀さばきで私の体を切り刻まれる前にお前らを捕まえて自ら魔王の里に帰還する。

私にとってはどってことない故郷だがお前らは不死身でもなく力もなく踏みつけられるか一生奴隷として働かされるかの選択肢しかない。過酷な場所だぞ。


何が言いたい?


残り十分。


魔王は時間稼ぎをするつもりなのか。ただ真実を述べているのか。真意を推し量れない。


話を聞くでない! こ奴の魂胆は見え見えだ。もうタイムリミットも近い。逃げ切る気じゃ!

文豪……

はっはは! そこの妖精に聞いてみろ。前にそんなことが無かったか?

虫。どうじゃ?


ティンの表情が曇った。さっきまでの勢いもない。

私は覚えがない。でも……

話では聞いたことがある。

魔王を目の前にして冷静さを保てなかった。

タイムリミットにはまだまだだったから遊んでしまって。

その隙を突かれて。リーダー以外魔王の里へ強制的にね。


本当なのティン?


ええ。想定外だったと聞いてるわ。

人は魔王と対峙するあまり冷静さを失う。

不死身だという驕りもある。

これで元の世界に戻れると思うと自分をコントロールできなくなる。


ふふふ。分かっただろ? 

どうだ? いい気になっているが私を追い詰めたと思ったのなら大間違いだぞ。

実際は私がお前らを逆に追い詰めているところなのさ。


ハッタリばかり言いおって。誰がそんな都合のいい話を信じるものか!

フフフ……


儂は文豪だぞ! 魔王など相手ではないわ!

文豪も意地を張る。


フフフ。おかしな奴だ。本気で言ってるのか?


たぶん本気でしょうね。

そう文豪だから。

うんうん。

オーレもそう思う。


こいつは驚いた。状況判断もできない愚か者だとはな。

何! 言わせておけば!


いいかよく聞け!

ふむふむ。

そこで提案だが……

うむうむ。


取引をしないか?

取引じゃと?

ああ。お前にとっても私にとっても悪くない取引だ。

うぐぐ…… よかろう言ってみよ!


このまま大人しくしていろ! そしてタイムアップまで動くな!

何! 馬鹿を言うな!


そうすれば仲間は助けてやる。

魔王の里に行くのはお前ひとりだけで済む。

もし守れずに攻撃した場合、私は躊躇なく他の者を巻き込んで魔王の里へ一緒に行ってもらう。どうだ? 動けまい。はっははは!


馬鹿な…… 


それしか打つ手はないみたい。文豪どうする?

虫よ。儂は選べん!

あなたはリーダーでしょう?

しかし…… 


文豪!

文豪!

文豪!


リーダである文豪に託された。


儂が不甲斐ないばかりに……


ははっは!

どちらにしろ地獄か? 選べぬか?

愉快愉快!

ならば選ばなくていい。考えなければいい。そうすれば時間が解決してくれるだろうよ。


もう三分を切った。


文豪! 私たちのことはいいから魔王を倒して!

しかしドロップよ……


そうだよ。オーレも戦わずにやられるなんて納得がいかない。

しょうがないですね。戦ってください。


キルルもレイルもいいんだな?

二人は頷く。


虫は……

聞くまでもないでしょう。

よし分かった。一か八かに賭けるぞ。


はっはは!


魔王の高笑いが止まらない。


ほら皆でカウントダウンをしようではないか。

魔王に隙が生まれる。


おおっと。はしゃぎ過ぎてしまった。魔王にふさわしくない態度。改めねばな。

あっははは!


堪えきれずに吹き出す。


今がチャンス……


おっと動くな! 見えてないとでも思ったか?


察知される。


ほら大人しくしてろ!

いい子だいい子だ。

よし。そのゴールデン・ソードを渡してもらおうか?


何! 

逆らうつもりか?

儂の大事なコレクション。お前などに渡してたまるか!


ふん。まだ余裕がありそうだな。

念のためその剣を寄越せ!


魔王は抜け目がない。


早くしてもらおうか。良いのか他の者を巻き込んでも?


うぐぐぐ…… よかろう。

文豪は剣を持って歩き出した。


ストップ! お前じゃない。他の者に持ってこさせろ!


ふん。臆病者め。

済まぬが誰か手伝ってくれ。


ドロップが反応。


もう急いで! 時間もないのよ!

いいからこれを。

ええ……


剣をしまい蓋をする。


何をやっている早くしろ!

いやいい。ゆっくりでいい。

時間が無いのはそちらの方なのだからな。

手伝ってやろうか?


また大笑い。

勝った気でいる。

その余裕が命取りになる。


ゆっくりでいいぞ。

ははは!


あと百秒だ。

カウントダウンと行こう。


魔王はもう勝利を確信している。


文豪は剣を託す。


よしこっちに持って来い! そのままだ。

あっははは!


剣は魔王のところへ。

もうどうすることもできない。

今までの苦労が水の泡。


ドロップは言われるままに。


ついに魔王に渡ってしまう。


よし。戻ってろ!


きゃあ!

気を引いてみるが無反応。


ほら早くしろ!


ドロップは急いで引き返す。


あと一分。


魔王は中身を確認。


不気味な笑顔を浮かべている。

勝利目前の魔王は隙だらけだ。


どれどれ。ゴールデン・ソードの切れ味はどうかな。


うん?

まったく輝いていない。


それもそのはず。文豪のナマクラ刀。価値はまったくない。


騙したな!

魔王様を見くびりやがって!


魔王は怒りで冷静さを失っている。


チャンス! と言うよりラストチャンス。


こっちだ!


文豪は走って勢いをつけ剣を投げる。


魔王覚悟!


嵌めやがったな!


剣は魔王に一直線。

このまま行けば魔王に直撃。


行け!


思いを乗せた剣は魔王の横を通過した。


馬鹿め! 避けられないはずが無かろう!


魔王は勝利に酔いしれている。


あばよ人間ども。

さらば哀れな冒険者諸君。


魔王は笑い続けた。


もう手が無い。


文豪万事休す?


魔王!


あと二十秒。


覚悟!


文豪は隠し持っていたゴールデン・ソードを振り上げる。


何? どど…… どういう……


勢いよくゴールデン・ソードを魔王に叩き込む。


なぜだ? あと少し…… がく。


ゴールデン・ソードは魔王を切り刻んだ。


残り十秒で魔王を撃破。


文豪!

本物がどれかも分からんとはのう。


文豪?

ハーレムの皆。楽しかったぞ。達者でな!


お別れの言葉を残し文豪は姿を消した。


それから順々にハブに戻される。

そこで時が止まった。

タイムアップ。


文豪は奇跡の生還を果たした。

ハブに戻される。


うん?

文豪覚醒。


うるさいのう。

ここはどこじゃ?


お目覚め下さい勇者様。


文豪は叩き起こされる。


ここは?

ハブでございます。

すると儂は……

はい。生還したのでございます。


生還を果たしハブに戻ってきた。


後は家へ。

元の世界に戻るだけ。

               

                   続く


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