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お手紙配ります 文豪配達便

ヒルズへ到着。


クエスト 郵便配達


コンコン

はーい。

若い女性が対応する。

これを!

文豪は手紙を渡すが受け取ろうとしない。


何ですか?

あんたの旦那から預かった。受け取ってくれ。

そうですか……

困った顔をする。


主人に伝えてくれませんかもう帰ってこなくていいと。

何を抜かす! 仮にも夫であろう。

そうですけど。でももう新しいダーリンがいるの。

知るか! 自分で何とかせい!


女は怒り出してしまった。


ティンが必死に宥める。


もう帰って!


クエスト失敗?


もう文豪! 少しは相手の気持ちを……

言いから次に行くぞ!


前金はもう貰っているので結果はどうであれ渡した時点でクエスト終了。

後は当事者の問題。

部外者はお呼びでない。


くそ! 気分が悪いわ! 次行くぞ!

書かれている場所を頼りに上り下り。


はあはあ

ふうふう


大丈夫?


虫よ手分けしてやろうではないか?

お主はそっち。儂はこっちじゃ。


ちょっと! 冗談でしょう?

不満か?

私が持てる訳ないでしょう。

ふん。冗談じゃ。


次はここね。

戸を叩く。


手紙を預かってきた。

それは御苦労さま。

そう言うと手紙を取ってさっさと扉を閉める。


おいちょっと!

扉を叩くがまったく反応しない。


まったく不快じゃのう。

ほらお爺さん。文句ばっかり言ってないで次に行くわよ。

もう面倒臭くなってきたわ!

ほら我慢。我慢。

しかし……


やる気を失った文豪をうまくおだてる。


文豪しかいないのよ。

まあ確かに……

文豪?

復活!


相変わらず反応が薄い住民。


手紙は嬉しくないのか?

もう忘れられてるみたいね。


悲しいが仕方ない。現実なのだ。


次もその次も無反応。

手紙だけ受け取ってすぐに姿を消す。


あと少しよ頑張って!

ティンの励ましで何とか堪えているがもう我慢の限界だ。


儂は!

うん?

儂は文豪だぞ!

ちょっと文豪!

儂の話を聞け! 儂は文豪だぞ!


大声で演説を始める。


それに反応するように人々が集まってきた。


何事だい?

この爺さんが喚いて仕方ない。

ちょっと爺さんお止めよ。

そうだそうだ!


ここの者が迷惑しているだろ。


一番年寄りのお婆さんが文豪を窘める。


ほれこれはお主の倅からじゃ。

他の者も受け取るがよい。

文豪からのプレゼントじゃ。


がやがや

ざわざわ


人がどんどん集まってきた。


一人の男が文句を垂れる。

うるさいよ! 寝れないだろう!


男の話を聞くことにした面々。


どうした?

うるさ過ぎる。明日早いんだ。もう寝不足になっちまう! あーあ。もうこんな時間かよ。

どこかに出かけるのかい?

実は……

そうかい。それは楽しみだね。


勝手に世間話を始めた。

文豪はついていけない。


何の話じゃ?

それがね。この人トレインに乗るんだって。

トレイン?

爺さんには関係ないからどっかに行きな!


都会の者は文豪を馬鹿にする傾向にある。


儂は文豪だぞ!

はいはい。


三通の手紙を配り終えればミッションコンプリート。

全てここの住民宛になっている。


おい誰か?

名前を呼ぶ。


ざわざわ

ざわざわ


大声で叫んでも誰も反応してくれない。


おい居らぬか?

おーい。

おーい。

帰ってしまうぞ。

おーい。

本当に帰ってしまうぞ。


ちょっと。

一人の女性が目の前に現れた。


主人からだわ。

なんて書いてあるの?


もうすぐ工事も終わりだそうよ。

一週間もしないで帰ってくるって。


あらそれは大変だわ。

本当。


嬉しそうに戻っていく。


次。


おばさんと女の子が寄ってきた。


この手紙はうちのだわ。

よしできれば何か情報か食い物でもあればうれしいがの。

すみません。私どもの知っていることと言えばトレインぐらいなものです。

トレイン? さっきも話にあったが詳しく聞かせてくれ。


トレインは今夜遅くに出発する夜行列車のことです。


どこから出ておる?

そうですね。ここから一時間もしない。駅から。


そのトレインは一体どこに向かうのだ?

それは……

教えられぬか?

本当は他所の人に話すのは禁じられているんですけど。


儂は文豪だぞ!

そうですね。手紙を持ってきていただいたんですから信用します。


お爺ちゃんも行くつもり?

女の子が興味を示した。


こら! 静かに!


あそこは恐ろしい所だよ。もう帰ってこれなくなるよ。

知らないよ。どうなってもいいの?


女の子は親から聞かされたエピソードを自慢げに語る。


呪われるよ。行かない方がいいよ。

すいません。でも行くなら気をつけてください。

大丈夫だよママ。チケットが無くちゃ無理だもん。


チケット?

はい。簡単には手に入りません。どうしても欲しいのであれば一ヶ月は待つことになります。

うむ。興味はあるが……


確か目的地は第四エリアだとかなんだとか。

何? それを早く言わんか!

どうしました?

儂らは冒険者。今は一歩でも先に進みたい。


そうだここ数日に怪しげな髭面を見かけなかったか?


ああそれでしたら。一昨日何人かの女性と…… そうそう駅の方に向かっていましたからもしかするとトレインに乗ったのかもしれません。


何? 本当か?


ええ、ねえ皆!

数人が目撃していたようで間違いないらしい。


よし儂らもトレインに乗るぞ!


お待ちください。チケットはどうします?

それはお主らが何とかしてくれるとか……

無理ですよ。用もないのチケットを買うなんて馬鹿げているわ。

うーむ。


仲間の行先は分かった。

儂らも第四エリアに向かいたいがチケットがない。

これではどうすることもできない。


                    続く


                 続く


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