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文豪絶対絶命

息を吹き返す。


夏……

儂は文豪……


意識を回復。

文豪復活!


明るい。もう昼過ぎ。


ここは一体?

儂はなぜ……


目の前にはティンの姿が見える。


文豪しっかり!

儂は息絶えたのではないのか?

馬鹿ね。無意識でここまで泳いだのよたぶん。


しかし…… 儂は……

細かいことはいいんじゃない。

まあ確かに。だがやはり気になる。

気になる? 教えましょうか?

うむ。頼む。


あなたはこの世界では無敵なの。だから生き返った。

うーむ。そういうことか。

納得したみたいね。


とりあえず起き上がる。


ここはどこじゃ?

さあ。私のデータにもないわ。

ティンも知らない場所とな。


ほら、あっち見て。


言われるままに目を向ける。


うん? 何じゃあれは?

今回の依頼品でしょう!


レインボードラゴンの卵を発見。


でかいのう。こいつが卵か?

急ぎましょう! 親が帰ってくる前にここを離れないと!

しかしどうやって?

洞窟に戻れば?

それは断る! もう嫌じゃ!

我慢しなさい! 他に方法はないのよ!


びりびり

がりがり


何か嫌な音がせんか?

いいから早く……


卵にひびが入る。


割れるのも時間の問題。


産まれるわ!

儂も産まれそうじゃ!

繁みでやってきなさい!


文豪は卵がかえるのに合わせて力む。


苦しい!

声を出さないの!


見るでない! そっちを向いておれ!

誰が爺の……


卵が割れ中身が現れた。


うーむ。実に良いサイズだ。

黙って! 


ドラゴンの赤ちゃんが姿を現した。


戦いますか?

保護しますか?


赤ちゃん。こっち。こっち。


ティンは母性に目覚めた。


かわいい! 大きい! きゃあ!


はしゃぎ過ぎじゃぞ。

うるさい!


紙をくれ!


ドラゴンの赤ちゃんと目が合った。


倒しますか?

逃げますか?

保護しますか?


文豪の元へ駆けていく。


もう歩けるとはさすがドラゴンの子じゃ。

いいから拭きなさい。仕舞いなさい。ついでにどっかに行きなさい!


赤ん坊は最初に見た者を親だと認識する。

ドラゴンも例外ではない。


文豪の後をつけて歩き回る赤ん坊。


ははっはは

うおおお


赤ん坊に気を取られたせいで完全に親ドラゴンの存在を忘れていた。


さあ行くわよ!

こいつを連れて行くのは難儀じゃな。


奇声と共に突風が吹いた。


親ドラゴンがお戻りになった。


急いで文豪! 隠れるのよ!

しかし卵の殻を……


お助け!


ドラゴンの素早い動きに反応できずに捕まってしまう。


うおおお!


文豪を掴んで遠くの空へ。


もうしょうがないわねえ。

ティンは仕方なく追いかけることに。


もうどこまで行くのよ?


親ドラゴンは気が立って何をするか分からない。


崖に一直線。


文豪を叩きつける。


止めろ! 止めてくれ!

儂は…… 文豪だぞ……


文豪は最後の言葉を残しお亡くなりになった?


うん……

ぎゃあ! ぎゃあ!


どうやら振りだけだったようだ。

再び大空を上昇。


もっと勢いをつけて文豪を粉々にするつもりらしい。


後悔中。


くそ! 早く立ち去ればよかった。

赤ん坊の世話などするべきではなかった。

あの虫が母性に目覚めるものだから……


文豪!


何とか追いついたティン。


そこから早く脱出して!


無理を言うな! こうもがっちり押さえられては動けはせん。

それに飛ぶこともできん。


親ドラゴンはティンの存在に気付いた。

これ以上の刺激は良くない。


ついにティンに狙いをつけた。


ティンは速さでは上だが体力が持たない。

追われ続ければ確実にやられてしまう。


ティンはお助けキャラ。

そしてハブ側の人間だ。


彼女は強くない。

また冒険者と違って不死身でもない。


簡単に逝ってしまう。


もしそうなったら文豪たちは魔王の里へ強制的に転生させられてしまう。

お助けキャラを守れなかったらそのまま地獄行というシンプルなルール。


ティン逃げろ! 儂の為にも!

分かってるわよ! でもどうすることもできないじゃない。


隠れろ!

この大空のどこに隠れろと言うのよ!


くそ!


絶体絶命。

あきらめムード。


親ドラゴンの怒りは収まらない。


放せ放すのだ!

もがくがやはりどうにもならない。


卵を狙った外敵を排除しようと必死。

いくら言い聞かせて無駄のようだ。


もはや制御不能。

そうルーズ・コントロールである。


文豪以上の暴走。


はあはあ。

苦しい。もうダメじゃ。


気持ち悪い。中身が出そうじゃ。


ティンを追って向きを変える。

ティンの必死の抵抗が文豪の体力を奪っていく。


もう私もダメ。


スピードを緩め反撃にでる。


発散!

発散!


しかしまったく効かない。

それもそのはず。

文豪がいるのだ。


本来人間には使ってはいけない魔法。

仲間を攻撃することも禁じられている。

ただ操られている時だけは仕方なく攻撃してもいい。

今回はその例外に当てはまらない。


発散したところで効力はない。


このままバラバラになるんだわ。

出来たら優しく花葬して……


もうダメ……


その時だった。


ドラゴンの鳴き声が響き渡った。


ウオーン

ウオーン


子ドラゴンの泣き叫ぶ声。

あまりの音に耳がどうにかなりそうだ。

両手が使えないため耳を塞ぐことができない。

叫び声はますますひどくなるばかり。

限度と言うものを知らない子ドラゴンの訴え。


親ドラゴンは興味を失った。

子ドラゴンの元へ戻っていく。

文豪はそのまま下へ。


うおおお!

放すなら事前に言ってもらわんと。


お助け!


落下。

大空を望む。


ダイブ・トゥ・ブルー


文豪の運命は?


                        続く

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