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お助けキャラ・ティンの秘策

お助けキャラ妖精ティン召喚。


何度言えばいいの! 以下省略!

虫よ! 頼む! 知恵を貸してくれ!

しっ! 静かに! 聞こえるでしょう。


まったくしょうがないんだから。ほらこれ使って!

隠し持っていた手榴弾を渡す。


おい虫!


脅すだけよ。相手が逃げ出せばそれでいいの。

これは似せてるだけで威力は無いの。

ただ煙が出るだけ。その隙に全員を救出するのよ。


お助けキャラのティンの作戦は上手く行くのか?

もちろん文豪の腕次第。


風が吹き出してきた。

一気に向かい風が強まる。


おい。爺さん。来るのか来ないのか?

はっきりしろ! 俺はまったく構わないぞ。


一つ良いか。


何だよ。早くしてくれよ!

髭面は面倒臭そうに返事を返す。


隙だらけだ。

よし今ならば。

だが念には念を。


済まんがその荷物を渡してくれないか。

儂は荷物係でな。どうも無いと落ち着かん。理解してくれるな。


何だそんな事か。ほらっよ。って誰がやるか!

お前俺を嵌めようとしてるだろ?


滅相もない。ただの習慣みたいなもの。

体が欲しているだけじゃ。


よし分かった。ほらよ。


上手くいった。これでアイテムが使用できる。


うう!

袋の中身は空でゴミが少しあるのみ。


習慣なんだろ? それでも持ってろ!


相手も馬鹿ではない。

だが文豪はあり得ないほど間抜け。


くそ!


行くぞ。早くしろ爺さん!


髭面は後ろを振り返り、一人遅れている文豪を罵る。

そして上り坂を後方から指示する。


ほら早く行け! 日が暮れるだろうが!

どこに行く気だ?


髭面はもう反応しない。

相手にされなくなった。


この文豪が無視?

プライドが傷ついた。


仕方ない。虫の作戦で行くとしよう。


おい! これでも喰らえ!

振り返った髭面目がけて手榴弾モドキを放る。


直撃か?

ダメだ届かない。


しかし少しぐらいならば問題なかろう。


手榴弾モドキは煙を吐きながら坂道を下ってくる。

その煙も向かい風の影響で迫ってくる。


ゴホゴホ

ゲホゲホ

苦しいわ!


何だハッタリか。もうこの爺さんは置いて行こう。

髭面は文豪を見捨てた。


髭面たちは坂を上りきってもう見えない。


おい虫! どう言うことじゃ?

お助けキャラのティンを再度召喚。


文豪! あんた馬鹿なの?

何! 儂はお前の言った通りやったわ!

どこがよ? まったく違うじゃない!

ううん? そうじゃったかのう。


手榴弾モドキは脅しでしょう。

投げたら意味がないじゃない。

それでも相手が抵抗したら投げて煙で驚かせて混乱に乗じて皆を救出。

王子さえ何とかすればあの男は勝てなかったのよ。


儂が悪いのか?

当たり前じゃない!


もう一度頼む?

当たり前でしょう。文豪のへたくそ!


本当に儂が悪いのか?


もういいわ。あなたはそういう人だったわね。

文豪を信じたのが間違えだった。


虫の分際で生意気な!

この剣でぶった切ってやる!


あるならそうしなさい。いいから早く追いかけて!

見失ったら大変よ!


非常時の為ティンと行動を共にする。


坂を上り前の組に追いつく。


はあはあ

はあはあ


何だ爺さん。まだ用があるの。

済まぬが旅を続けさせてくれ。

よし。最初から逆らわなければいいものをついて来い。


これは何だ?

ペットみたいなものじゃ。


目障りだな。まあいい。

さあ行くぞ! ついて来い!


舗装されていない田舎道を進む。

途中川を泳いで渡ったり沼に嵌ったりとハプニングがあったものの隙を突いて逃げ出すまではいかなかった。


水をくれ!


爺さん。もうへばったのか?

他の者は大人しく従っているのに爺さんと来たらまったくほらよ。

泥水でよかったらやるよ。


何?

遠慮せずに飲め。爺さんも年なんだからよ。


飲み水には程遠い濁り水。

仮に飲んで喉の渇きを癒したとしても腹痛で何日も動けなければ命取り。

諦めて歩き出す。


どうした? お口に合わないのか。はっはは!


まだか?

もう少しだ。


歩きだす。


まだ着かぬか?

もうすぐ。


頭がくらくらする。気持ち悪い。

脱水症状が現れている。

今すぐ水をとれば問題ないがこのままでは……


まだなのか?


もうすぐって言ってんだろ!

髭面も少なからず疲れてきている。


文豪!

ドロップが心配して振り返る。


ほらお嬢さん方、前を向こうね。

言うことが聞けないならどうなるのかな?


ドロップは無言で合図を送った。

反撃のチャンスと見たのか。

だがこちらには体力が残っていない。


今よ!

レイルの号令で皆別々に動き出す。


キルルが王子につく。

レイルが文豪を引っ張っていく。


一瞬の出来事のため反応が遅れ髭面はおろおろするしかない。


よし今だ!

レイルが構える。


没収されていた手榴弾を掴み投げる。


形勢逆転か?


髭面は逃げるしかない。


お前の負けじゃ。降伏せよ!

爺さん。俺を甘く見るな!


髭面はずいぶん余裕。

ハッタリだろうか?


王子? 王子!

姿が見当たらない。


手榴弾の煙と土煙に埃が合わさって視界が悪い。


もう子供ではないのだから勝手にどこかに行くはずもないが下手な動きをされてまた形成が変わっては苦労が水の泡。


王子! 王子!


しかし髭面も王子を見失っている。


一体どこに行ってしまったのか?


モンスターだっているかもしれない危険な場所。

一人行動は命取り。


王子! 王子!

どこですか? 王子!


髭面は動けないでいる。


文豪も一歩も動けない。


だが仮に奴が襲ってきても何とかなる。

もう王子が居ないのだから。


何をお探しかな?

男の声がした。

もちろん王子には似つかないかすれた声。


すみません。皆さん。掴まってしまいました。

お主は?

ああ。俺の仲間だ。


髭面は薄ら笑いを浮かべて勝利宣言。


もうすぐそこだったからな。

待機していた仲間が察知して迎えに来たのさ。

助かったぜ!


危なかったな。せっかくの商品をみすみす逃すところだぞ。

悪い悪い。


作戦失敗。

再び王子を人質に取られてしまう。


お前らの弱点は分かってるんだよ。

王子ってか。可哀想にな。力が無いもんだから足手まとい。

まあ。この爺よりは役に立ちそうだがな。


十分後ようやく目的地に到着。


                    続く


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