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女の子たちは耳かきをしたいようです

作者: 紫藤 楚妖

日本のとある県、とある市に女子高がありました。しかしそこは男性の皆様が想像するような乙女の園というわけではありません。女の子だって耳かかゆくなることだってあるのです。たとえそれが学校であっても。


「うー、耳がかゆいよー。ねぇ誰か耳かき持ってない?」

ショートヘアーの女の子が突然そんなことを言い出した。

「耳かきなんて学校に持ってこないよ」

眼鏡をかけた別の女の子が笑いながらいう。

「あ、コンビニのお弁当につまようじが入ってた。これでやってみたら」

「つまようじなんかでやったら絶対痛いじゃん」

「えーそうかなー。うちのパパはたまにやってるよ」

「うーん、せめてティッシュ巻いてやってみる」

ショートヘアーの女の子はポケットからティッシュを取り出し、もらったつまようじに巻いて即席の耳かきを作り、耳掃除を始めた。

女子高だと男の目がないためこんなことが平気で起こるのである。

「どう。痛い?」

「あー、けっこう気持ちいいかも」

「でしょー。うちのパパもやってたし」

「あんたお父さん好きすぎでしょ」

ショートヘアーの女の子が苦笑する。

「ただいまー。あれ、なにしてるの」

ロングヘアーの女の子がどこからか帰ってきた。

「おかえりー。この子が耳がかゆいからつまようじにティッシュ巻いて耳かきしてんの」

「もー、そんな危ないことして。耳かきなら私が持ってるし、やってあげるわよ」

「いいの!やってやって」

「はいはい、こっちにおいで」

ロングヘアーの女の子は椅子を横に並べて人一人が横になれるようにした。

「え、膝枕までしてくれるの。ありがとう。大好きー。」

「こっちの方がやりやすいのよ」

「どう、たまってる?」

「外から見えるところはきれいよ。でも奥はちょっと…」

「ちょっと…、なんなの。すごく気になるんだけど」

「大丈夫よ。全部きれいにしてあげるわ」

「お願いします」

ショートカットの女の子の耳かきさばきは丁寧であった。それでいて耳垢をしっかりと外へ出していった。

「うわ、すごくとれたね。大丈夫?痛くない?」

「大丈夫ー。全然痛くないよー。すっごく気持ちいい」

「それはよかったわ。はい、これでおしまい」

「ありがとー!すっごく気持ちよかった!またやって」

「だめよ、素人がしょっちゅうやってはいけないのよ。本当は耳鼻科に行かないと」

「あー、うちのパパもいってるよ。散髪で切った細かい髪が耳の中に入っちゃうんだって」

「そうね、あなたの場合、ショートヘアーだから人より髪の毛が耳に入りやすいのよ」

「はーい、わかりました。でもさ、たまにならやってくれる?」

ショートヘアーの女の子が上目遣いでおねだりする。

「仕方ないわね」

「わーい、ありがとう」

「ところでさ」

ここで眼鏡の女の子が重大な発言をする。

「みんなの化粧ポーチに綿棒くらいあるよね?それ使えばよかったんじゃない?」

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