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第89話 通りすがりのヒーローです

(た、倒せたぁ~。よかった~)


 地面に倒れている三人の不良の真ん中で俺は大きくため息を吐いて安堵する。

 路地裏という狭いフィールド。

 さらに俺の挑発に乗って、三人同時に襲い掛かってくれたのが功を奏した。


 これなら先に殴りかからせてから、その力を利用して転ばせたり、突進してきたら背中を押して壁に激突させたり、混戦の中、味方同士で足を引っ張り合わせるのも容易だった。


(あかねを守れるように毎日鍛えてるからな、よくエルドラとジムでスパーリングとかもしてたし……元ギャングスターのエルドラに比べるとこいつらなんて子猫みたいなもんだったな)


 そのとき、丁度星乃が喫茶店のマスターを連れて来てくれたところだった。

 何とかこのピンチを自力で切り抜けた俺は得意げな表情でピースした。

 星乃はそんな俺を見て、必死な声を上げた。


「あの! ここにいた眼鏡をかけた男の子は知りませんか!? この人たちに襲われていたはずなんですけど!」

「……え?」


 星乃にそんなことを言われて、ようやく気が付いた。

 そうか、俺は今眼鏡を外して髪も後ろで縛ってるんだ。

 星乃から見たら今の俺は須田凛月とは別人なわけだ。

 とはいえやはり例によって自分の素顔を知られるわけにもいかない。

 俺は声を変えて別人を装うことにする。


「あー、あぁ。えっと、か、彼だったら俺がさっき逃がしておいたよ。君たちが今来た方向にね。入れ違いになっちゃったんじゃないかな」

「本当ですか!? 怪我とかはしてませんでしたかっ!?」

「た、多分大丈夫なんじゃないかな? 路地裏から怒鳴り声が聞こえて、俺が助けに来た時にはまだ彼に手は出されてなかったみたいだから」

「そうですか! ありがとうございますっ! あのっ、お礼は後日しますので! とりあえずこれを!」


 そう言うと、星乃はメモ帳に大急ぎで電話番号を書いてちぎり取り、俺に手渡す。


「すみません! 私、先輩を探します!」


 星乃はそれだけ言い残すと、喫茶店のマスターも置いてけぼりにして駆け出して行ってしまった。


「……凛月さん、無事でよかったです。まぁ、心配はしてませんでしたが」


 星乃に連れられてやってきた喫茶店のマスター、是常海音これつね みなとは落ち着き払ってそう言った。


 彼はペルソニアのキーボード担当だ。

 ゼノンという芸名で仮面の代わりにいつも紙袋をかぶっている。

 海音みなとの巨人のような体躯と鍛え上げられた肉体からは想像もできないような繊細でなめらかなピアノの旋律はいつも多くのファンの心を掴んでいる。


「いやいや、滅茶苦茶怖かったからね。本当に死ぬかと思ったわ」

「とか言いつつ無傷じゃないですか。それにしても、彼女に随分と愛されていますね」


 海音は保護者のような温かい笑みで俺をからかう。


「まぁ、誰だって連れが襲われてどっか行ってたら心配するだろ」

「でも、ピンチを颯爽と助けてくれたシオンさんをすぐに置いて行っちゃうほどですよ?」

「あいつはイケメンにしか興味がないらしいからな。これ以上は悲しいから言わせないでくれ……」

「いや、だったらなおさら――まぁ、いいです。本当にいい子だってことが分かりましたから」


 よく分からないことを呟く海音をよそに俺は落ちているブレザーを拾い上げると、土埃を落として羽織った。


「星乃はカフェに戻ってるだろうな。早く須田凛月の格好に戻って、会ってやらんと」

「そうですね、凛月さんがまたあの子を探しにカフェを出て入れ違いになって、その途中で私と会ったことにすれば不自然ではないでしょう」

「ありがとう、海音。店を放り出してまで来てくれて」

「こんなの、恩返しのうちにも入りませんよ」


 海音はそう言って笑った。


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『【連載開始!】ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
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連載中ラブコメ!
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― 新着の感想 ―
[良い点] 取り繕った上っ面だけで判断されてきた自分を嫌がっていたからこそ、外見に惑わされることがなかったのかな。なんにしろガワではなく内面を見てくれるキャラにはとても好感が持てます。率直に言うとめち…
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