第85話 後輩にカツアゲされました
「……はぁ、先輩。カラオケのお会計。私がトイレに行っている間に勝手に済ませましたね?」
星乃は頬を膨らませて俺に抗議してきた。
先輩だから奢ってやりたいって気持ちがあるんだが、そんなんじゃ星乃は納得しないだろう。
こいつも根は真面目だ。
「まぁ、なんだ? お前のライブを楽しませてもらったからな。チケット代みたいなもんだ」
「何言ってるんですか、それなら全然足りませんよ! ほら、もっと出してください! ぴょんぴょんするんですよ! ジャラジャラ鳴ったらまだお金を持っているって事ですからね!」
「遠慮してるのかと思いきやカツアゲしてたっ!? しかもいつの時代の不良だよ!」
俺の反応を見て、星乃は満足そうに笑う。
「冗談ですよ。先輩、せっかくですから一緒に晩ご飯も食べましょう! 今度は私が奢ってあげますよ!」
「そっか、ちょっと待ってろ。今、高級フレンチの場所を検索するから――」
「先輩、ハンバーガーが好きですよね! マクロナルド行きましょ!」
「何で分かったんだ? マックは俺の第二の実家だ」
「私、ポテトが大好きなんですよ~。あ、こっちの裏道を通ると近道ですよ!」
「ちょっと、腕を引っ張るなって! もげちゃうから!」
俺は星乃に誘われるまま路地裏の道を通る。
星乃は俺の腕をグイグイ引っ張りながらいたずらっ子のような笑みを向けていた。
陰キャは女子に触られるだけで惚れるので琳加といい、もう少し慎重になってほしい。
「おいおい、ちゃんと前見て歩けって」
「あはは! こんな辺鄙な道通る人なんていませんよ――ギャフン!」
そう言った直後、星乃は前方にいた三人組の怖いお兄さんがたの一人にぶつかった。
肌に入れ墨が入っていて明らかに柄が悪い、いわゆるチンピラのお兄さん方だった。
新作のタイトルを
『無能だと追放された無自覚才女は、訳あり王子に溺愛される』
に変更しました!
異世界の学園ラブコメです!
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