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第73話 この先生、誰か幸せにしてあげて…!


「そうだ! 先輩、この後私と一緒に遊びに行きましょう! これも何かの縁です! 先輩に興味がわきました!」

「いや、俺は一刻も早く仕事を終わらせて家に帰って愛する妹に会いたいから無理だ」


 俺は星乃の提案を脊椎反射で断る。


「そうですよね! 美少女の私と遊びに行けるなんて、先輩なら涙を流して喜んで――なんて?」


 星乃は満面の笑みのまま表情を硬直させて俺に聞き返した。


 若干、――いや、かなりの圧を感じながら俺はもう一度返事をする。


「無理です」

「……は? いや、何でだよ」


 星乃は呆れ顔で俺を睨む。


「妹はお前より百倍可愛いから、お前といるよりも妹といる方が人生が豊かになる」


 俺は一分の隙もない完璧な回答をすると、星乃の表情が引きつった。


「シスコンかよっ! いいじゃないですか~、毎日会えるんですし。それに、そんなに妹ちゃんにべったりだとウザがられませんか? というか、ぶっちゃけ嫌われてません?」

「いや、そんなはずはない。確かに俺が何かすると毎日顔を真っ赤にして『馬鹿っ!』とか『死ねっ!』とか言われてるけど……」

「それめちゃくちゃ嫌われてるじゃないですか……。絶対に距離を置いた方がいいですよ。妹ちゃんが可哀そうです。ただでさえ、先輩みたいなひねくれ陰キャがお兄ちゃんで可哀そうなんですから」

「……確かに、あかねが可哀そうだ。ごめんなこんなのがお兄ちゃんで……」


 本気でへこんでしまい、少し泣きそうになった。


「先輩……可哀そうに、今日は私が励ましてあげますよ」

「お前の悪口が原因だけどな」

「とにかく、そういうわけですから! 今日は私と一緒に遊びに行きますよ。そうと決めたらさっさとその仕事を終わらせちゃいましょう! ほら、半分渡してください」


 そう言って、星乃は俺の手に持っていた書類をほとんど奪い取った。

 そして、とんでもない手際の良さで紙束を見分け、瞬時に棚に仕分けしていく。


「は、速い……」

「まぁ、私優秀ですからね~。澄川先生の婚期の遅さとは違って仕事は速いんですよ」

「それ、絶対に本人の前では言わないでね。泣いちゃうから、多分子どもみたいに大声上げてわんわん泣いちゃうから」


(まぁ、手伝ってくれるみたいだし、今日くらいこいつに付き合ってもいいか……)


 星乃の言う通り、あかねにつきまとってこれ以上嫌われるのを恐れた俺はそう思い始めた。

 なんだか星乃とは一緒にいても緊張しないし。

 俺も負けじと書類を棚に分けていったが、経験者でもある星乃にはトリプルスコアくらいの勢いで負けてしまった。


 ……仕分け後、職員室まで生徒会室の鍵を返しに行った。

 タイミング悪く、澄川先生が離席していたので生徒会室の鍵は先生の散らかった机の上に置いておく。


(……これ、澄川先生見つけられるよね? 流石に分かるよね? 見逃したりしないよね?)


「せんぱ~い! 早く行きますよ~! あっ、ここからは他人の振りをしてくださいね、誰かに見られたら嫌なので。横浜駅に着いたら話しかけても良いですよ!」

「お前との距離感難しくね?」


 色々と少し不安に思いながら俺は星乃と校舎を後にした……。


 ◇◇◇


 凛月と星乃が校舎を去ってから時間が経ち、夕暮れ時――。


 もう校内に生徒は残っていない。

 妖しい笑みを浮かべ、薄暗い廊下を教師である澄川時子(すみかわときこ)は歩いていた。


「ふっふっふっ、須田はまだ生徒会室で必死に仕分けをしている事だろう。あいつの性格的に仕事をほっぽりだすことはないだろうし。協力してくれる友達なんていないはずだ。誰も来ない教室で私と二人きり……よし、何が起きてもおかしくないな」


 欲望が口から漏れ出ながら、すでに誰もいない生徒会室へと向かって行ったのだった……。


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タイトル

『山本君の青春リベンジ~学校でイジメられてた俺が努力して生まれ変わり、戻ってきてからクラスメート達の様子がおかしい件~』

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『【連載開始!】ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
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<(_ _)>ペコッ
連載中ラブコメ!
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― 新着の感想 ―
[良い点] 星乃の声がずっとあやねるの声で再生される [気になる点] アイドルたちの話が嫌な終わり方だったので離れてましたが、ここから誤解が溶けるのか気になったので戻ってきました。 頑張ってください
[一言] 雌カマキリみたいで、怖いです。
[良い点] かわいい女子、きれいな女性 居るとこには居るのね [気になる点] こわい女子、きれる女性 裏返るの、リバーシブル ぶるぶる(バイブル) [一言] 面白い展開 四者面談は来るだろうねw
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