第64話 花見瀬名は敵わない
「みなさん、聞いてくださりありがとうございました!」
鳴り止まぬ拍手がしおりんたちを祝福する。
そんな中、同じように拍手をしながらステージには諸悪の根源である花見が現れた。
「素晴らしかったわ!」
そして、貼り付けたような笑みを浮かべて手を差し出す。
「思わぬアクシデントがあったみたいだけど、公演が間に合ってよかったわ! 貴方たち、シンクロにシティには期待をしているの! 一緒にカルデアミュージックを盛り上げていきましょう!」
そして、白々しくそんな事を言ってのける。
俺たち、ペルソニアとしおりんたちが繋がっていたのを見て態度を一変させたのだろう。
分かりやすい奴だ。
差し出された花見の手を無視して、しおりん、あかりん、みほりんの3人は再び横並びに観客へと頭を下げた。
「ファンの皆さん! 私たち、本日を持って芸能事務所、カルデアミュージックを退所いたします! 新たな旅立ちとなりますが、これからもシンクロにシティをよろしくお願いいたします!」
「なっ!?」
すでに決意は決まっていたんだろう、しおりんたちはそう宣言した。
花見はやり場のない手を差し出したまま屈辱で小刻みに震えている。
見かねた俺は舞台袖から出てくると、そんな花見の前に立った。
何を勘違いしたのか、俺を見て花見は満面の笑みを見せる。
「シオン様――!」
「花見」
そして、俺は告げた。
「お前じゃシンクロにシティには敵わねぇよ」
「な、な、な……!」
花見はしおりんたちを睨みつけると、ステージから走り去って行った。
「しおりんたち、ペルソニアの代表曲は分かるか?」
「も、もも、もちろんでひゅ!」
俺が語りかけると3人ともガチガチになって返事をする。
こんなのじゃ後味が悪い、最後は最高に盛り上がってしおりんたちの門出を祝おう。
「じゃあ、アンコールだ! 俺と一緒に歌おう! ラストプログラム、『persona』!」
沢山の温かい応援とレビューまでいただきありがとうございます!
嬉しくてちょっと泣きました……笑
次回は少し長いです!
アイドル編は幕を閉じ、また新たな章が始まります!
新たなヒロイン、学園生活、そして芸能界……ご期待ください!
書籍の発売まであと2日!
明日の更新は夜の9時頃の予定です!(間に合わなかったらごめんなさい)
ぜひぜひ、楽しみにしていてください!





