表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/111

第62話 その仮面を剥ぎ取れ

「――誰かステージに出てきたぞ!?」

「おい! ふざけんな! 早く――」


 俺たちの姿を見て観客の怒号がピタリと止む。

 そんな様子など意にも介さずに俺たちはそれぞれの持ち場で楽器を手にした。

 会場が静まり返る。


「お、おい……あれって"ペルソニア"か?」

「いやいや、こんなアイドルのライブに居る訳ないだろ……伝説のバンドだぞ?」

「な、なんだ……仮装してるだけか。そんなんで俺たちは誤魔化されないぞ! 早くシンクロにシティを出せ!」


 俺たちの登場に一度はざわめきへと変わった怒号も再び顔を出し始めた。

 それぞれが軽く音を出してチューニングを始める。

 一番最初にハンドサインでオーケーを出したのは、

 タンクトップに紙袋を被った筋骨隆々のピアニスト『ゼノン(Xenon)

 次に、

 ジャック・オ・ランタンの被り物を被り、マントを羽織った少女のドラマー『シーナ(Xina)

 そして、

 背広を着て、馬の被り物を被ったギターの『ザイレム(Xylem)

 直後に、

 パーティドレスを着て、狐のお面を被ったベース『セレナ(Xerena)


 ――そしてワイシャツに黒のジャケット衣装を着た俺、ボーカルの『シオン(Xion)』はそれを確認してシーナに合図を出した。


『始めてくれ』と。


「ワン、ツー。ワン、ツー、スリー」


 シーナがスティックを叩き、リズムを作りだすとザイレムのエレキギターが力強く鳴り響く。

 その後を追うようにゼノンの繊細なピアノの旋律が、セレナの重低音のベースの音色が調和し、音楽を作っていく。


 さすがだ。

 リハーサルも何もしていないけど、何百回と繰り返した練習と経験は裏切らない。

 俺たちの"本気の音"を聞いて、観客たちも徐々にどよめきが大きくなってきた。

 あり得ない、ペルソニアがこんな場所に居るなんてあり得ない。

 そんな観客たちの常識という仮面を俺は歌声でぶち壊す。

 誰にも真似できない。

 シオンだけが出せる声と言われているハイトーンボイスで歌い出す。


 唯一無二の力強く繊細な歌声。

 これが、俺が(シオン)である何よりの証明。

 観客たちの期待が確信に変わった瞬間だった。

 大歓声が上がり、人々は両腕を上げて俺の名を呼ぶ。


「「シ・オ・ン! シ・オ・ン!」」


 怒りなど忘れて、誰もかもが素顔になった。

 人は面白い。

 誰もかもが仮面を被って生活している。

 重たい仮面を着けて。

 でも、俺たちの音楽を聞くとみんな思い出すんだ。


 誰かのための表面的(ペルソナ)ではない。

 本当の自分の喜びを。


沢山の温かい感想をいただきありがとうございます……!

書籍ではこの演奏シーンも圧巻のイラストになってます!


では、このままアイドル編のフィナーレまで!一緒に駆け抜けましょう!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓のタイトルをクリックすると他作品のページに飛べます↓
連載版始めました!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『【連載開始!】ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
連載中ラブコメ!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『山本君の青春リベンジ~学校でイジメられてた俺が努力して生まれ変わり、戻ってきてからクラスメート達の様子がおかしい件~』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!

    
新刊!
『【漫画】クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、書籍情報へとアクセスできます ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、書籍情報へとアクセスできます ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
[一言] カクヨムの更新待てなくてこっちみに来たら更新されてて一気に読んでしまいました。 体調は大丈夫でしょうか?面白い話をありがとうございます。 お体に気をつけて頑張ってください。
[一言] おぉ!体調は大丈夫なんですか?
[一言] 客「しおりんもシオンも大体響きが一緒だし、もうシオンのライブってことでいいんじゃないかな」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ