第57話 夜に集う
――その日の夜。
今日の事で謝りたいと蓮見から連絡がきた。
俺の家に来ようとしている蓮見を説得して俺が蓮見の家へ。
夜に出歩かせるなんて危ないからな。
蓮見書店の前に着くと、蓮見が家の外で俺を待っててくれていた。
「凛月……と、とりあえず私の部屋に来る?」
「こらこら、夜に男を部屋にあげるな。親父さんに殺されちまうよ」
「そ、そうだね……今度、両親が居ない時に呼ぶね」
天然な蓮見はそんな事を言う。
いや、心配すべきはそっちじゃないんだが。
まぁ、俺なんて警戒するに値しないか。
そんないつもどおりのようなやり取りを終えると、蓮見の瞳には涙が溜まっていった。
そして、蓮見は俺に深く頭を下げる。
「――ご、ごめんなさい! 私、恥ずかしくて、また誰かに軽蔑されるのが怖くて、何も言えなかったけど……今度ちゃんとしおりんたちの誤解を解くから……! あれは私が勝手に持ってきたものだって!」
涙をぽろぽろと流す蓮見に俺はハンカチを渡した。
「いや、いいんだ蓮見。お前がよかれと思って、恥をしのんで持ってきてくれたんだろ? なのに朝宮さんたちの前で本を落としちまった俺の失態だ。蓮見が恥をかく必要はない。それにもともとは俺の身から出たサビだしな」
「で、でも――!」
「リツキ、蓮見!」
そんな話をしていると、寝間着姿の琳加がここに走ってきた。
俺と蓮見はびっくりして息を上げている琳加に声をかける。
「琳加、どうしてここに!?」
「Zelyで見たら、二人がここにいたからな。私も急いで来たんだ」
そうか、Zelyは位置情報アプリだ。
俺と蓮見が一緒に居ることで今日の事件の事で話し合いをしていると思ったんだろう。
「とはいえ、寝間着で来るなよ! ほら、俺ので悪いがこれ羽織れ!」
「凛月の……上着!?」
俺が上着を肩にかけてやると、琳加は袖を通してクンクンと匂いを嗅ぎ始めた。
えっ、ごめんなさい。臭います?
あかねも俺の服を嗅いでるところを見たことあるし……思春期臭ってやつか、気をつけないと。
というか、寝間着ってことはもう寝るところだったのか、早いな、まだ20時半だぞ。
番長とか言われてるけど、全然不良じゃないな。
【お知らせ】
自作、『ギルド追放された雑用係の下剋上』のコミカライズがニコニコ静画、コミックコロナで公開されました!
ファンタジー小説が苦手な方でも、漫画なら楽しめるかもしれません!
第1話からとっても素敵なお話になっていますので、
読みに行ってもらえると嬉しいです!よろしくお願いします!





