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第53話 練習の成果

 

「お待たせいたしました! 次は人気急上昇中のアイドル、シンクロにシティの登場です!」


 そして、シンクロにシティの順番がやってきた。

 客席からはカルデアミュージックの他のアイドルたちが薄ら笑いを浮かべながらしおりんたちを見ていた。


「みんな~! お待たせ~!」


 元気いっぱいにしおりん、あかりん、みほりんが登場してファンに笑顔を振りまく。

 会場からは応援の声が上がった。


「ふふふ、練習場所もトレーナーも無しに上手くいくわけがありませんわ」


 客席の最前席に座り、花見は口元に開いた扇子を添える。

 きっとほころぶ口元を隠しているのだろう。

 そんな花見の存在に気がつき、しおりんたちも気合を入れ直すように深呼吸をした。


「じゃあ、いきまーす! 私たちの代表曲! 『コネクト!』」


 タイトルコールをすると、しおりん、あかりん、みほりんはそれぞれの立ち位置に着いた。


「……あら? 始まりの位置がいつもと違いますわね?」


 花見がそんな事を呟いた直後、音楽と共に始まる。

 ――今までとは全く異なるシンクロにシティの演技が。


 動きが遅い分、見せ方が丁寧なみほりんから順にしおりんとあかりんもズラしながら合わせてポーズを決めていく。

 そして、縦に、横に、縦横無尽に動きつつも一体感を持って観客の視覚に彼女たちの個性を訴えかける。

 今までとは全く違う、世界的人気パフォーマー、エルドラ監修の振り付けに観客たちは圧倒されながらも声を張り上げた。


 歌も聞き取りやすく、自然な彼女たちの声が出ている。

 全力を出しているが、今回の公演は1曲だけだ。

 バテることなく最後まで演じきる事ができるだろう。


「朝宮たちの新しい振り付けに観客は凄い盛り上がりだな」

「凄い……しおりんたち、凄く上手になってる!」

「あぁ、今までとは全く違う。新しいシンクロにシティだ。これならみんな納得せざるを得ないだろう」


 他のアイドルを見に来ていたファンたちもしおりんたちの演技に目を奪われているようだった。

 最前席で公演を見ていた花見は扇子を落とす。


「な……そんな……ありえないわ……」


 目を丸くして震えながら舞台上で舞い、歌う彼女たちを見ていた。

 振り付けもエルドラが教えた通り。

 それぞれの踊りの癖や性格などの個性が全て魅力として引き出されていた。


 花見はワナワナと身体を震わせる。

 そして、自分のパフォーマンスを終えて花見の席の隣で口をぽっかりと開いてしおりんたちの演技に見とれているアイドルに声を張り上げた。


「どうなってるの!? 一体どれだけ練習を積めばこんな演技ができるのよ!? あいつらには正規のマネージャーすら付いてないんでしょ!? カルデラのプロデューサーを呼びなさい! 何かあの子たちに特別なレッスンをしたに違いないわ!」

「は、はい! すぐに呼びます!」


 残念ながら、彼女たちに特別なレッスンをしたのは事務所の人間ではない。

 それに、ほとんどはしおりんたちの自主的な努力の賜物だ。


(よかった、この様子ならきっと花見さんもシンクロにシティの努力を認めてくれるだろう)


 俺は呑気にもそんな風に安心しきっていた。


「こんな短期間で……これじゃいずれ私よりも売れてしまいますわ。そうしたら今まで嫌がらせをしてきた仕返しをされてしまいます……絶対に、絶対に潰さなくてはなりませんわ……」


 爪を噛んで何かを呟く花見の邪悪な瞳に気が付くこともなく……。


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『【連載開始!】ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです!はやく続きを読みたいです。
[良い点] はじめまして! 実は少し前から通わせていただいております。 読みやすくて、ワクワクして、すごく快感を味わえる作品です!!シオン大好き!! 「シンクロにシティ」の皆、頑張ったーーっ。 次回…
[一言] 1時間もかけて一気読みしてしまった!!! 勉学では群を抜き、気遣いを忘れず、それも美男子、良いとこ尽くめな男性な筈なのに、女心には全くと言って良いほど気付かない天然系スケコマシは読んでてスト…
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