第51話 黒幕のご登場
シンクロにシティ初めての単独ライブ、『シンクロ!』まで後1週間。
しおりんたちはカルデアミュージックのイベントに出演していた。
カルデアミュージック所属のアイドルたちが次々にパフォーマンスをしては、また次のアイドルグループへと交代していく。
俺はシンクロにシティの関係者として琳加や蓮見と共にアイドルたちが控える楽屋に入れてもらっていた。
「しおりんたちの出番はそろそろか」
俺がそう呟くと、しおりんたちは頷いた。
「みんなのおかげで歌も踊りもバッチリだよ!」
「ここまで支えてくれてありがとう!」
「生まれ変わった私たちを早くみんなに見せたいな!」
やる気十分のしおりんたちを見て、満足そうに微笑むと、琳加は頭をかいた。
「あはは、私はあまり力になれなかったけどな……テストの点数が悪かったせいで補習ばっかり受けてたし……」
「そんな、とんでもないです! 琳加様は私が電話したらいつも話を聞いてくれましたし、そもそも今回の件も琳加様が強がる私の悩みを見抜いてくださったんじゃないですか! 今思い出しても本当に素敵でした!」
瞳を輝かせるしおりんに琳加は複雑な表情をする。
やっぱり琳加はしおりんの事が少し苦手みたいだ。
まぁ、誰だってここまで心酔されたら困惑するか。
「えっと、言いそびれていたが。そもそも朝宮の異変に気がついたのは私じゃなくて――」
「しおり、そろそろ出番だよ!」
みほりんの言葉でしおりんたちは立ち上がる。
「それじゃ、私たちそろそろ準備してくるね!」
「が、頑張って……!」
「うん!」
蓮見が小さな声で応援すると、しおりんたちはピースサインで応える。
そして、しおりんたちは楽屋から舞台裏へと移動していった。
俺たちもしおりんたちを見送ると楽屋から出ようとする。
――ちょうどその時、楽屋にいるアイドルたちが一斉に立ち上がり入り口に集まった。
「花見さん、ようこそいらっしゃいました!」
そう言ってアイドルたちはコートを羽織り、颯爽と歩く彼女――花見 瀬名に挨拶をした。





