第50話 築き上げた信頼
「えっと、じゃあ実際にダンスの動画を見てみようか!」
そう言って、ダンススタジオのモニターで再生する。
俺の家の庭が映しだされて、なんか滅茶苦茶恥ずかしかった。
◇ ◇ ◇
動画を見終わると、3人は今まで見たこともないエルドラの世界レベルのダンスに圧倒されていた。
「すっっっご~~い! こんな踊り見たことないよ!」
「時代を先どっている感じ! 絶対に人気出る! 大ブームが起こっちゃいそう!」
「す、凄過ぎる……。アイドルの踊りの枠を少し越えてるレベルのような――で、でも、それぞれ私達の得意な動き! これならできそう!」
アメリカではエルドラが踊ってすでに流行り始めている振り付けらしいが、日本ではまだだ。
つまり、しおりんたちが最初ということになる。
しかも【本人公認】の。
それに加えて、エルドラはしおりん達でも踊れるように難易度が下がってキュートになるアレンジもしている。
こんなの、正式に依頼してたら何千万円ものお金がかかるな……。
「身体が凄い筋肉質でイカツイ人だったけど、分かりやすかったね」
「そ、そうだね。ストリート・ギャングみたいだったけど……襲われたらひとたまりもないや」
あかりんとみほりんがコソコソとそんな話をしていた。
うん、俺もそれは少し怖い。
エルドラはアメリカ人の距離感だからボディータッチとか滅茶苦茶激しいし。
気をつけないと吹っ飛ばされる。
「この人が凛月の友だちなんだね……み、見た目でこんな事言っちゃダメだと思うけど、怖い人じゃないよね……?」
しおりんは俺に恐る恐る聞く。
エルドラの性格を知っている俺はつい笑った。
こいつは無遠慮だが兄貴肌で優しい奴だ。
「大丈夫だよ。顔を出せないくらいシャイな奴なんだ。悪い奴じゃないよ」
顔を隠している理由を捏造しつつ俺が笑うと、しおりんたちもホッとしたような表情を見せた。
人気が出てきた美少女アイドルということで、もしかしたら事務所のイジメ以外でも過去に何か怖がらせられるようながあったりしたのかもしれない。
特に多感な高校生という時期だ、男の人に少し恐怖心を持っていてもおかしくはないだろう。
琳加なんかは俺と接している感じ、逆に警戒心がなさすぎるし……。
俺が心配だから、むしろしおりんたちくらいは警戒して欲しいところだ。
まぁ、俺が男として見られてないのが原因だと思うけど……。
「も、もちろん私は信頼してたよっ!? だって凛月の友達だもんね! いい人に決まってるよ!」
「あっ、ズルい! あかりだって少しびっくりしてたじゃない!」
「2人共、人を疑っちゃダメ。凛月君を信頼しなくちゃ」
「みほが一番怖がってたじゃない……意外と調子いいんだから……もちろん、私たちはここまでしてくれた凛月を信頼してるよ! 私たち、友達だもんね!」
そう言って3人はキラキラした瞳で俺を見つめる。
普段の俺なら天国にでもきてしまったのかと錯覚して気を失ってしまっていただろう。
しかし、しおりん達の練習を手助けする間に俺に対してここまで気を許して信頼してくれたのが純粋に嬉しかった。
ファンではなく練習パートナーとして、友達として、この信頼を裏切るようなことを俺は絶対にしない。
一人でそう心に誓う。
「よし、じゃあみんなで頑張って練習しよう!」
「「おー!」」
しおりんたちは元気よく拳を突き上げた。
ご報告のため、大急ぎで書きました!
粗かったらすみません…!
【読者のみなさまへ 感謝】
皆様の応援のおかげで、本作が小説家になろうの【現実世界(恋愛)】の年間ランキング1位になりました!
本当にありがとうございます!
この先も読者の皆さまを楽しませられるように頑張りますので、今後とも応援よろしくお願いいたします!
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イラストレーターはみすみ様(https://www.pixiv.net/users/1122006)です!
息を呑むような可愛らしく美しいイラストを描いていただきました!
書き下ろし特別編では凛月がモテまくってニヤニヤです!
あと、「紙と電子どちらが良いですか?」とたまに聞かれますが、帯などのデザインも非常に凝っているので本棚を圧迫しないのであれば紙でのご購入がオススメです!





