第41話 アイドルたちに差し入れを持っていく
蓮見と他愛のない話をしつつ俺たちはスタジオに到着した。
「や、やばいな……アイドルの自宅に来たみたいな気分だ」
「凛月、わ、私変な所無いかな? このまましおりんたちに会っても大丈夫かな?」
人に嫌われる事を過剰に恐れる蓮見は俺にそんな事を言って顔を近づけた。
長い前髪の下のあどけなく可愛い素顔が見えて、俺は思わず顔を逸らす。
こんな性格のせいで油断しがちだが蓮見は超絶美少女だ……あぶないあぶない。
思わず告白して数少ない友達の一人を失うところだった。
「大丈夫だ、どこをどうしようと俺たちはお互いに変だからな」
「た、確かにね! 私たちお揃いで変だもんね!」
なぜかそんな俺の言葉に蓮見は嬉しそうな表情をする。
褒めてないんだが……?
インターフォンを押すと、「今開けるねー!」というしおりんの元気な声と共に門が開かれた。
◇ ◇ ◇
ダンススタジオに入ると、しおりんたちが嬉しそうな笑顔で集まってきた。
本来であれば推しアイドルに囲まれて緊張でガチガチになっていただろう。
しかし、もう昔の俺ではない。
彼氏面で颯爽と差し入れを渡して調子でも聞いてやろう。
「こ、ここ、こここれれれ」
「あ! もしかして差し入れ!? ありがとう!」
「やったーアイスだ! 嬉しいなぁ!」
震える手でコンビニの袋を差し出すと、受け取ってくれた。
受け取る時に、ちょっと手が触れちゃいました。ごめんなさい、ありがとうございます。
俺はこの空間に身体を馴染ませるために大きく深呼吸をした。
ライブとかでも緊張しないようにする方法だ。
大丈夫だ、これならもうちゃんと話せる。
早速アイスの袋を開けながら俺たちを見て、しおりんが首をかしげる。
「あれ? 琳加様は……?」
「あいつはテストの点数が悪くて補習だそうだ。残念ながら今日は来れない」
「琳加様、お勉強が苦手なんですね。そんなところも素敵……! 昨夜も私が電話をかけると、琳加様は『眠れないなら眠れるようになるまで私が話してやる』って~~」
目をハートにして身体をくねらせながら語り始めるしおりんに、あかりんとみほりんは苦笑いをしていた。
しおりん、もうそこまで琳加に夢中になっているとは……
この様子だと毎日電話して、その度に琳加が無意識イケメンムーブでしおりんの心を摑んでいるんだろう。
琳加としてはいつもどおりに接しているだけのつもりなんだろうが。
――というか、琳加が勉強できなかったの半分くらいはしおりんのせいでは?
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妹ちゃん(あかね)や椎名のイラストもめちゃくちゃ可愛いですよ!
あと、書き下ろしは凛月がモテモテで素晴らしいです!





