表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/111

特別編 噂の陰キャ兄貴を馬鹿にしに行く その3


「あ、あの……ご用件は――」


 今更声を変えるわけにもいかないので、そのままの爽やかボイスで俺は彼女たちにもう一度声をかける。


「わ、わわ、私っ! あかねさんの()()()の山本といいまして!」

「私もあかねさんと大親友の木村です! あかねさんとはもはや心の友です!」

「守谷といいます! あかねさんの一番の大親友は私です!」


 3人は急に元気よく俺に自己紹介を始めた。

 あかねの友達か……この3人は初めて見たな。

 やけにあかねとの仲の良さをアピールしてるけど……。

 あかねは女子にもめちゃくちゃモテるからなぁ。


「あかねの同級生なんだね。いつも妹がお世話になってます。悪いけどあいつは今日入学パンフレットの撮影でまだ帰って来てなくて――」

「いいえ! 今回はお兄さんに用がありまして!」

「俺に……?」


 山本さんの意外な答えに戸惑う。


「え、ええと……! その! あかねさんがお兄さんの話を学校でされていましたので、気になってお会いしたかったんです!」

「あかねが……学校で俺の話を……?」


 木村さんの言葉に俺は首をひねった。

 どういうことだ……?

 あかねと俺が兄妹であることは学校ではほとんど知られていない。

 陰キャな俺がキッカケであかねが虐められたりしないようにするために信頼できるやつ以外には隠している。

 あかねも俺という存在を恥じているのだろう、誰にも言ったりはしない。


 前にあかねが可愛い女友達に「あかねってお兄ちゃんがいるって聞いたんだけど本当? 会ってみたいな!」と言われていたのを偶然見たときも「いないわ、絶対にウチには近づかないで」なんて言ってその友達を睨みつけていたし……。


(――ということは!)


 俺は理解してしまった。

 あかねを怒らせすぎて、ついに我慢が出来ず"俺への愚痴"を彼女たちに漏らしてしまったのだろう。

 彼女たちはきっとあかね大好きファンクラブだ。

 兄妹であるのをいいことに毎日あかねを困らせていることを知って俺に説教をしにきたのだろう。

 いや、俺ほどのシスコンになると通報もありえる……!


「……と、とりあえず中に入ってお茶でもどう?」

「はい! 突然押しかけてすみません、お邪魔します!」


 俺は冷や汗をかきつつ彼女たちを家の中へと招き入れた。

 とにかく、穏便に。

 どうにか通報は勘弁してもらう必要がある。

 俺があかねを怒らせてしまうのは純粋な愛ゆえだ。

 何とかしてそれを分かってもらって、許してもらえないだろうか……。


 玄関に足を踏み入れると、すぐに彼女たちはこそこそと何かを話しだした。


「う、上手く誤魔化せたわね……」

「話が違うじゃない……! こんなにとんでもなく格好いいお兄さんがいるなんて……!」

「で、でも家の中に入れたわ! あかね(あいつ)が帰ってきたらマズイけど、その前に上手くこのお兄さんと仲良くなって出ていきましょ!」 


 きっと俺に制裁を加える作戦会議だろう……。


 俺は覚悟を決めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓のタイトルをクリックすると他作品のページに飛べます↓
連載版始めました!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『【連載開始!】ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
連載中ラブコメ!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『山本君の青春リベンジ~学校でイジメられてた俺が努力して生まれ変わり、戻ってきてからクラスメート達の様子がおかしい件~』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!

    
新刊!
『【漫画】クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、書籍情報へとアクセスできます ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、書籍情報へとアクセスできます ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
[良い点] 気付いたら二話も更新されている!? 写真のシミが気になりまス(ゲス顔)
[良い点] 連続投稿楽しみです〜(≧∇≦) ぜひよろしくお願いいたしますm(_ _)m
[良い点] >本編とは関係のない特別編ですので、リラックスしてお読みください。 主人公兄妹のシスコンブラコン具合は他のヒロインとの関係より頭二つほど抜けているので、ガチ実妹との近親恋愛がメインテーマだ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ