特別編 噂の陰キャ兄貴を馬鹿にしに行く その2
「う~ん、よく分からんが……。とりあえず顔が見えてればいいか」
そんなことを独りで呟きながら俺は洗面台で手鏡を見ながら髪を整えていた。
手鏡を使っているのは自分の顔を直視したくないからである。
この小さい鏡なら自分の髪だけ見れるからね。
仕事の関係でよく見るイケメン俳優たちと自分の顔を見比べたらきっと死にたくなるだろう。
――ピンポーン!
髪の毛を適当に左右に流したところでインターフォンが鳴った。
今、家に一人しかいない俺は作業を切り上げて玄関へと向かう。
いつもなら俺より先に家に帰ってきているあかねだが、今日は入学パンフレットの撮影で帰りが遅い。
その入学パンフレットは無論、絶対に10部以上は手に入れて大切に保管するつもりだ。
……そんなことしてるとバレたら、またあかねにキモがられるんだろうが。
でも、あいつの部屋で俺の写真を見つけたこともあるんだよなぁ。
なんかシミだらけになってたからコップ置きとかに使われてるんだろうけど……。
勝手に落ち込みながら俺は玄関に向かう。
恐らく事務所関係の宅配だろう、コンサートグッズの見本が送られてきたのかもしれない。
欠片でも「友達が来たのかな?」とか思えるようになりたい人生だった。
宅配だと決めつけた俺は玄関モニターも確認せずに扉を開ける。
――すると、ウチの高校の制服を着た女子高生が3人いた。
全員、俺の顔を見上げて、口をポカーンと開けたまま固まっている。
……え、誰?
「えっと、すみません。どちら様ですか……?」
俺と同じ白星高校の制服を着ているので、俺は"鬼太郎"と今の素顔の自分が一致されてしまわないように声を変えた。
とっさのことだったので、昨日アニメで見た"爽やかな王子様ボイス"をつい真似てしまう。
ちなみに、俺は帰宅直後に制服から部屋着に着替えている。
俺の問いかけが聞こえているのかどうか分からないような呆けた表情で3人は顔を赤らめて俺の顔を見つめ続けていた。
あれ?
無視されているのかな?
ここからしばらく1話1話が短めになります!
すみません!





