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足して2つの高校生活  作者: 赤槻春来
5月.やりたい部活があるとは限らない
5/51

騒がしい客人



 翌日。

 いつも通り6限の授業を終えると俺達3人は部室棟へ来ていた。

「今日から活動開始…なのか?同好会ってなにすんだよ…」

 扉に『陸上部(カッコカリ)』と書かれた立札を前に俺はそんな声を漏らした。

「(カッコカリ)!?陸上部ってとこまではわかるけどマジックで書き込んであるし…」

「きっと渡部先生が書いたんじゃない?それよりもさっさと入りましょ」

 吉田のツッコミを若林がスルーすると俺はノブに鍵をさした。

 あれ?鍵開いてるんだけど…

「どうしたのはじめ?急に固まって」

「あ、いや…鍵開いてたから驚いただけ」

 俺はそう言いながら扉を開けた。

「あ、きたきた…」

 部室内にはすでに先客がいたようでその少女は俺達を見るとそう呟いた。

「うん、どちらさまで?というか俺昨日ちゃんと鍵かけたハズなんだけど…」

 少女は俺の言葉を綺麗にスルーすると吉田のほうを見て口を開いた。

「あ、誰かと思えばクラス一のイケメンじゃない!まさかあなたもここに入るの!?」

「えっ?えっ?」

 吉田は少女の言葉に混乱しているのか俺のほうをチラチラと見てきた。

「ねぇはじめ、この人誰?吉田の知り合い?」

 いつのまにか俺の横にきていた若林は横目で吉田を見ながら小さな声で話しかけてきた。

 …若林も吉田のこと気になるのか…?

「いや知らん。アイツ容態だけは良いから女子に人気なんじゃね?」

「とてもモテそうには見えないけど…」 

 俺と若林がそんな会話をしていると少女はこちらを向いてきた。

「おぉ!こっちはクラス一の美少女!若林さんじゃありませんか!最近カラーコンタクトをしたのか左右の目の色が違うって噂は本当だった!?」

「えぇ…」

 若林は少女の言葉に引いたようで一歩下がった。

「それと、隣にいるのは…」

 少女は俺のほうを見ると困ったような顔をした。

「あなた、いつも若林さんと2人でいるけど何者?あたしには男装が趣味の変態にしか見えないんだけど」

「ちょっと!?何その反応!?俺男だから!正真正銘男だから!出合い頭に酷いな!というかお前誰だよ!?」

 ナニソレ…俺って男として見られてないの?確かに早乙女先輩に三つ編みにしてもらったときに似合ってるなとか思ったけども!

 少女はそんな俺の考えていることに気づくはずもなく、自己紹介をはじめた。

「えぇ…あたしクラスで自己紹介したと思うけど…まぁいいや。じゃあ改めて!あたしは井上いのうえはる!ここに入部するつもりだからよろしくね!」

 彼女のテンションに俺達3人はシンとした。

「え?ねぇちょっと…あたしが思ってた反応と全然違うんだけど」

 いや思ってた反応ってなんだよ…

「いや…井上さんだっけ?あなた何組?」

 若林は井上にそう聞くと井上は驚いたような顔をした。

「え…あたし4組だよ?君たちあたしと同じクラスだよね?ね?」

 まさかの同じクラスだったオチ。

 俺達は顔を見合わせたが、2人共そんな人いたっけって反応してるし。

「みんな知らないとかあり得ないんだけど…」

「いやいや…井上さんだっけ?お前だって俺のこと知らないからどっちもどっちだと思いますけどね!?」

 落胆している井上に俺は思わず声を上げた。

「まぁそんなことはいいんだよ。あたし的にはなんでここの立札に『陸上部(カッコカリ)』って書いてあったのが一番気になるんだけど…(カッコカリ)ってなんなの?」

 井上の言葉に俺は2人のほうを見ると何故か目を逸らされた…あ、俺が説明しろってことね。

「ここ人数足りないから同好会扱いらしい。なんで陸上部なのかは知らん!俺は強制連行されただけだから渡部に聞いてくれ」

 俺がそう言うと井上は肩を落とした。

「じゃあこの学校には陸上部ないの?」

「「「ない」」」

 俺達は即答した。

 井上は上目遣いをしてきたがないものはない。ここは諦めて帰ってもらいたい…というか帰って!これ以上は俺が持たない!

「まぁ入るんだけどね☆」

「結局入るのかよ!」

 キャピと笑ってみせる井上に吉田が思わずツッコミを入れた。

 俺と若林は顔を見合わせるとどちらともなくため息をついた。



「…ってことがあったんだよ」

 家に帰った俺は夕飯を食べながら今日あったことを話していた。

「結局、義兄おにいさんの名前は覚えられてなかったんですね」

「ちょっと椿ちゃん?それは言わないで…俺地味に傷ついてるから」

 いつも通り俺達と一緒に夕飯を食べている椿ちゃんはそう言うとご飯を頬張った。

「はじめはその井上って人どう思うの?」

 明の意外な一言で賑やかだった食卓が一瞬にして静まりかえった。

「どうって言われても…まだ全然知らない相手だからな…」

「じゃあ観察でもすれば?はじめってそういうの得意でしょ?」

 明はそう言うと口元を緩めてみせた。

 …仕方ないか、あの部屋を使うもの同士知っておいて損はない。

「そういえば幸助こうすけにぃも陸上部じゃなかったっけ?はじめも(カッコカリ)だけど陸上部でよかったんじゃない?」

 早乙女先輩の場合は普通の部活だった気がするけど…亮の言うことには俺も同感なので口出しはしないことにした。



「我は竜人…今こそ力を解き放つ瞬間ときッ!」

 翌日の昼休み、俺は若林と部室に入ると先に来ていた吉田が何やらかっこいいポーズをとっていた。

 コイツ、痛すぎる…

「吉田、何やってんの?」

「ひょえっ!あ、なんだはじめか…いや最近やってなかったから久々にやろうと思って…」

 吉田の声がだんだん小さくなってると思ったら俺の隣からとてつもない殺気が…

「吉田くん?そういうのいいからさっさとでていってくんない?」

「は、はいぃぃッ!」

 怖ッ!若林怖ッ!笑顔なのに怖ッ!なんでこんなキレてるのか知らないけど吉田が怯えて飛び出してったぞ…

「よし、これでやっとはじめと2人きり…さぁはじめ!一緒にお弁当食べよ!」

「お、おう…」

 若林が最初何を言ったのか聞き取れなかったが俺のほうにさっきと違う笑顔を見せると嬉しそうにしていた。

 勢いで返事したけどさっきの若林が頭から離れなくて弁当の味がよくわかんねぇ…



 俺達が弁当を食べ終えようとしていたときいきなり部室の扉が開かれた。

「若林さん!一緒にお昼食べm…」

 勢いよく入ってきた井上の声は俺と目があった途端にだんだん小さくなっていった。

「おい井上…俺がいるからってあからさまにテンション下げんのやめてくんね?」

「えっと…たしかいちさんだっけ?女の子同士一緒食べない?」

 いち!?誰だよソイツ…あとさりげなく女の子って言われたんだけど…

「ちょっと井上さん。はじめはいちじゃなくてにのまえだから。人の名前はちゃんと覚えたほうがいいよ」

「いやいや若林サン!?そこもそうだけど…まずは俺が女の子扱いされてることに訂正を入れようよ!」

 俺は思わず若林の肩を掴むと若林は顔を赤くして目をそらした。そんなに俺と目を合わせるのが嫌なのか…?

「あの、いch…じゃなかったにのまえくん?なの?」

 井上は少し控えめにそう言ってきた。

「いや、昨日俺男だって伝えたと思うんだけど…」

「あれ本当のことだったの!?てっきりそういうネタかと…」

「いや違うよ!?俺はどっからどう見ても男だろ」

 思わず大声をだしてしまった…

 井上は俺のまわりを舐め回すように見たあと俺のズボンに手をかけて…

「ちょっと!井上さんッ!はじめになにしようとしてるの!?」

 ベルトが外れたタイミングで若林がそれを止めに入った。

「なにって…にのまえくん?が男の子って証を見ようとしただけだけど…」

「いや意味わかんねぇよ!そもそもなんとかキャンプのとき俺は女湯にいなかっただろうが!」

 この女…痴女なのか?天然なのか?思わず叫んでしまった…



 昼休みか終わり、俺は5、6限の古典の時間は寝たふりをしながら井上を観察していた。(ただし、やましいことはない)

 俺が見た感じ井上さんは普通に勉強に取り組んでいるようだが…たまに吉田のほうをチラチラと見ていた。

 そういえば吉田のファンクラブとやらにも井上さんは入ってたな…

 授業間の休み時間、井上はクラスの女子グループに混ざろうとしているのかやたらと女子達に話しかけようとしていたが一言話すとあまり相手にされていなかった。多分思ったことをすぐに口に出す性格のせいだと思うが…

 6限では窓のほうを見た瞬間若林と目があった…若林のやつ顔赤くしてすぐにそらしてたけど。なんか俺変な格好してんのかな?



「それじゃあ今日はここまで!提出物忘れるなよ」

「起立!礼!」

『さようなら』

 日直の号令に生徒達は一礼すると各々の部活等に向かっていった。

 俺が鞄を持つと若林がやってきた。

「はじめ、今日は部活行くの?」

「いや…今日は母さん帰ってこないからこのまま帰るつもりだけど…」

 あれを部活と言ってもいいのか?ただの物置にしか見えないんだが…というか陸上部の同好会って一体何すんだよ…よく考えたら謎すぎるわ。

 俺が頭の中でそんなことを考えていると若林がが口を開いた。

「じゃあ私も一緒に帰ろうかな」

「いやお前…部活はどうすんだよ」

「行かないけど?というかはじめ…なんで授業中井上さんのことジッとみてたの?ねぇ?」

 ちょっと若林サン近くないすかね…あと笑顔が怖い。

 俺若林を怒らせるようなことしたかな…?

「あれはだな…その、なんていうか人間観察?」

 なんでキョドッたんだ俺ェェェェ!?これじゃ浮気のバレた彼氏みたいじゃねぇか!いや彼女いないけども。

「まぁ別にいいんだけどね…気があるわけじゃ無さそうだし…」

「ん?最後なんて言ったんだ?」

「いや、なんでもないよ?それより早く帰ろ」

「あ、おう…」

 ほんと若林が何言ってんのか聞こえない時あるな…マジで今度耳鼻科行こ。

 俺はそう考えながら教室を後にした。



「あのぉ…若林サン?どこまでついてくる気なの?」

 俺達はいつまであればバス停で解散するはずなんだが…若林は自転車置き場までついてきた。

 いや、若林の家と反対方面なんだけど…

「はじめの家。行ってもいいでしょ?どうせ学校でも一緒なんだし」

 上目遣いは反則です若林さん…

 何故だかわからんが若林は俺の家に行きたいらしい…まぁ別にいいんだけどさ。

 明さえいなければ問題ない。

「別にいいけど…乗る?」

「はじめ、さすがに2人乗りは許容できないかな…道路交通法違反だし」

「じゃ、ちょっと歩くか」

 俺は自転車の鍵を外すとそれを押しながら歩き出した。

 なんだか付き合いたてのカップルみたいだなこれ…



 家に帰ると俺の願いが届いたのか明は家にいなかった。

「ただいま」

「お邪魔します…」

 俺は玄関の鍵を開けると誰もいないのかシンとしていた。靴もないし…

 この時間は亮が帰ってるはずなんだが…

「あ、若林は適当にしててくれ俺は掃除しとかないと…」

 なんか変な匂いするしささっと掃除して夕飯作んなきゃ!

 俺は若林をリビングに案内すると家の掃除(特に俺らの部屋)をするために二階へ上がった。

「これは…ヤバいな…」

 ヤバいヤバい…何がヤバいかって?俺の部屋からめっちゃ変な匂いするんだけど!

 俺は『はじめあきらの部屋』と書かれた札のかかっている扉を恐る恐る開いた。

「あー…うん。そういうことね」

 俺は自分に言い聞かせるように呟くと状況を整理した。

 まずは脱ぎ散らかされた服が男女1着ずつ…そして明のベッドに気持ちよさそうに寝てる裸の男女。その周りには異臭を放つ大量のティッシュ…

 オーケーおーけー超冷静…

「じゃねぇよ!お前ら帰ってたのかよ!」

 俺はつい大声をだしてしまった…

 ベッドの上にいる2人はそんな俺の声に気付いてないのか未だに気持ち良さそうに寝てる…

「はぁ…久々に片付けできると思ったのに…またここでヤりやがって…」

 俺はビニル手袋とマスクを装着するとそれをゴミ袋に突っ込もうとした…

「な、なにこれ…」

 俺の声を聞いてやってきたのか扉の前で若林が顔面蒼白して立っていた。

「あー…若林サン?オチツイテキイテモラエマスカネ?」

 つい片言になってしまった…

 若林は衝撃のあまりしばらく固まっていそうだし今のうちに掃除終わらせよう。



「で?あれはなんなの?」

「ちょっと若林サン?笑ってるのに瞳が光ってないよ?一旦落ち着こう。ね?」

 俺の部屋を掃除し終えると俺は再起動した若林に問い詰められていた。

 ちゃんと話を聞けばわかってくれるよね?

「あれは俺の弟とその彼女だよ…うん」

 若林は俺の言葉を聞くとポカンとした様子だったが再び口を開いた。

「じゃああの男の子が中二病の言ってたりょうちゃんって子?」

「いや違うよ?あいつは明。中学2年だよ。それで明と一緒に寝てる女の子が椿ちゃん。明の彼女ね」

 中二病って多分吉田のことなんだろうなぁ…間違ってないけども。

 亮がいないのは明達がおっ始めたせいか…

 若林が混乱したような表情をしていると玄関の扉がガチャリと開かれた。

「ただいまぁ…ってはじめ!?誰この美人!はじめの彼女!?」

「おかえり亮。コイツは彼女じゃn…」

「彼女だよ!私は霞。君が亮ちゃん?」

 亮は帰ってると若林を見て驚きの表情に染めていた。…というか若林サン?俺の言葉遮らないでね?

 俺は若林の肩を叩くと小さな声で話しかけた。

「おい、若林…なんで彼女なんて名乗ったの?俺達付き合ってないよ?」

「いやそれは…そっちのほうが都合が良いからね」

 なんの都合か知らないがいちいち顔を赤く染めるのやめてくんね?可愛いなチクショウ!


 若林はそのまま俺達と一緒に夕食をとると家に帰っていった…(夜道は危ないので俺も家までついていった)

 マジで若林何のために来たんだよ…



 あれから1週間。俺は井上の観察を続けた。

 毎日のように女子達のグループに混ざろうとしていたがだんだんと避けられているのかというのを察したし、部室に顔は出しているらしいけど俺は行ってないからな…ただ、グループに馴染めてないだけで一部の女子も井上に話しかけようとしたりしていた。

 放課後を知らせるチャイムがなると俺は久々に部室に行くことにした。珍しく母さんが家にいるしね。

にのまえ、ちょっといいか?」

 俺が席を立とうとした瞬間、渡部が口元を緩ませながら声をかけてきた。

 何故だろう…すごく嫌な予感がする…

「なんすか先生」

「いやお前…最近井上のこと見つめてるけど気でもあるのか?」

 馬鹿じゃないのコイツ…あんな女眼中にもないわ!と、言ってやりたい気持ちを抑えつつ俺は口を開いた。

「ただの人間観察ですよ…」

 渡部は俺の言葉につまんないやつだと言いたげな顔をした。

「やっぱそうか。どうだ?井上は。クラスに馴染めてないようだからお前らのところに行かせたんだが…」

 何してくれとんじゃこのクソ教師!?やっぱあんたの差し金か!

 俺は心の中でそう叫ぶと軽く渡部を睨みつけた。

「どうもこうもないですよ…まぁ、井上がどんな状態なのかはわかったんで今日話してみようかと」

「ほほう…そうやって女子を口説くのか」

「違ぇよ!」

 おもわず叫んでしまった…クラスに人がいなくてよかった…



 俺は吉田と若林が掃除している間、一足早く部室へ移動するとすでに中にいた井上に声をかけた。

「井上。昨日も来てたのか?」

「あ、えっと…いち…い…いっちゃん?そうだよ!」

 結局名前は覚えてないんですね?俺泣いちゃうよ?家でだけど。

「もういっちゃんでいいや…で、井上。単刀直入に言うがお前クラスに馴染めてないだろ」

 渡部の話や俺の推測が正しければ井上はクラス…正しくはクラスに存在するグループに馴染めてない。

 井上は俺がそう言ったきり黙り込んでしまった。

「その反応は図星ってことでいいのか?」

 井上は静かに頷くとそのまま俯いた。

「なんで…なんでなの?なんでわかるの…?」

「いやそれはお前を見てれb…」

「違う!どうせいっちゃんだってあたしのこと避けるんでしょ!高校に入ればみんなともっと仲良く…楽しくなると思ったのに!なんで!?なんで…みんなあたしを避けるの!?」

 感情に任せた叫び声は俺の鼓膜をビリビリと震わせた。

 どうやら井上は中学時代に友好関係を築けなかった人間らしい。

 でも…

「違うな…お前はみんなが自分を避けているように見えてるみたいだが…全員が全員お前を避けてるなんてことはないじゃねぇか」

 俺は自分でも何を言ってるのかはわからない。けど、この1週間井上を観察していて…

「お前…ちょっと前の俺みたいなんだよ」

「…ぇ…」

 井上は俺の独り言のような言葉にピタリと動きを止めた。

 俺は長い前髪をかき上げると井上の目をジッと見つめた。

「俺だってこんなんだからさ、小中学校のときはみんなから避けてたんだ…でもな、俺は…」

 俺は早乙女先輩がいたから今の俺がある。

 あの時浮いてた俺も先輩が支えになってくれなかったら今の井上と同じようになってたかもしれない…

「支えとなってくれる人がいたからこんなふうに笑ったりできるんだよ…きっと…」

 俺はそこまで言いかけると一旦深呼吸をした。

 めっちゃ恥ずかしいことを言ってるな俺…

 帰ったらみんなに気付かれないように布団で泣こう… 

 冷静になった俺はそんな思考を振り払うように首を振ると再び井上を見た。

「だから俺は…お前の支えになってやりたいと思う。形はなんだっていいさ…お前は人に話しかけたりするとき思ったことをつい口走り過ぎることが原因だと思うしな。俺はそれでも話くらいは聞いてやる。きっと吉田や若林だってちゃんと理解してくれるさ。お前は普通に可愛いんだからきっと誰かと笑ったりできると思うさ」

 俺は勢いあまって意味不明なことを言った気がする…

 井上はそんな俺の言葉を聞いておかしかったのかそれとも俺が痛すぎたのか一瞬顔を赤くすると遠慮しがちに笑い出した。

「おい、なんだよその反応…あれか!俺が痛すぎたのか!?」

「いや…違う違う。いっちゃんって思ってた人と全然違ったから面白かっただけ」

 井上はひとしきり笑った後俺のほうへ向き直った。

「でも…ありがと。あたしのこと見ててくれて」

「いや、仮にも同じ部活?の仲間になるんだからどんな人か知っておこうと思っただけだ」

 そう。他意はない。

「それに…お前を見てたのは俺以外にも何人かいたしな」

「やっぱり見てたじゃん」

 意地悪な笑みを浮かべ楽しそうに笑う井上を見て、俺はつい顔をそらした。

「へー…そうやって口説いてるのね」

「わ、若林!?いつからそこに…」

 俺がそらした視線の先にはいつ入ってきたのかわからないが何やら怒った様子の若林が立っていた。

「うーん…確か『お前の支えになってやる!』ってとこかな。後でちょっとお話ししましょうね?」

 うわぁぁぁぁっ!よりによって一番恥ずかしいところからじゃねぇか!

 それで若林サン?そのお話しって何…?めちゃくちゃ笑顔が怖いんだけど…

「あはは…相変わらず仲が良いんだね2人とも。あたしもちょっとは頑張らないとダメかな…」

 井上が何か言っていたが今の俺にはそれを聞き取る余裕はなかった。



「竜人ッ!見参っ!…ってあれ?何この状況」

 俺はあれから若林に何をしていたのか問い詰められて干からびていると痛い発言と共に吉田が勢いよく部室に入ってきた。

「中二病。今日はもう帰って良いよ。私ちょっとこれから井上さんに尋m…お話ししなきゃいけないから」

 尋問!?若林今尋問って言いかけたよね!?

「そ、ソウナンダー…ジャア我、モウ帰リマスネ…」

「おい吉田ッ!俺を置いて帰ろうとんじゃねぇ!」

「やだよ!今の若林さん超怖いもん!逆らったら何されるかわかんないよ!」

「誰が怖いってぇー?」

「ヒィッ!なんでもないです!ハイ!」

 俺達が入り口付近で揉めあっているといつのまにか閉じていた扉からコンコンという音が聞こえてきた。

「お前らやってるかー…って何してんだ?」

 渡部は部室を見回すと何を察したのかひとり頷くと持っていたファイルから一枚のプリントを取り出した。

にのまえならやってくれると思ったが…井上は案外早くクラスに馴染めそうだな。そんなお前らに朗報だぞ!」

「朗報?」

 俺達は顔を見合わすと渡部が「ああ」と頷いた。

「お前らには陸上部(カッコカリ)として来月の体育祭で部活対抗リレーに参加してもらう!ちょうど4人揃ったしな!これからは陸上部としての練習もしてもらうぞ!」

 マジか…


 渡部の勝手な一言によって俺達はこれから陸上部としての練習をすることになった…って!来月の体育祭ってテストの直後じゃねぇか!





 一途な愛を永遠に。(挨拶)

 どうも皆さんこんにちは。赤槻あかつき春来はるきです。


 今回、第2章は5月の部活編!今回はあまり面白い内容が無くてごめんなさい…(謝罪)

 本当はもっと書きたいことはあるんですが5月の内容だと伝わりにくいと思い部活のエピソードにした次第です。

 気を取り直して!今回出てきた陸上部(カッコカリ)!一体何するんですかね?怪しさMAXの不思議な同好会です…(確信)

 井上さんはちょっと人間関係がうまく築けなかったけど心の支えって大切だと思います。(経験談)


 来月はテスト編と体育祭編の2つをお送りしたいと思います!(宣伝)

 今回よりはマシな内容にはなると思いますので引き続き読んでくださると嬉しいです。


 意見やアドバイスなどありましたら感想やツイッターのほうに書き込んでくれると幸いです。

 リクエストなどあればYouTubeで解説動画など出すかも…

 次の更新まで結構期間が空いてしまうと思いますがこれからもよろしくお願いします。

 それでは皆さん、ごきげんよう。

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