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足して2つの高校生活  作者: 赤槻春来
4月.新生活
2/51

1日目

「じゃあこれで」

「おう!また明日!」

バスが最寄駅に着くと俺は吉田に声をかけて駐輪場へ向かった。吉田…お前テンション高すぎだろ。

駐輪場にある自分の自転車を見つけると俺は鍵を開けてまたがった。

今日は半日だからあきらより早く帰れるかな。


家につながる坂を抜け近道と称して公園を突っ切ると自分の家が見えてきた。

「ん?庭に人影が…?」

その人影は俺に気付いたようで…

「はーじーめー!」

なんか俺の名前呼んで手を振ってるんだけど…

俺は自転車を降りると玄関へと向かった。

「はじめ!だだいま!」

「おうお帰り!じゃねえよ!俺もだだいまだけど…というかりょう、お前家に入らないの?」

俺の5つ下の弟、にのまえりょう。朝は基本的に俺より遅いからこれが今日最初の会話だ。

「ちょっとはじめ!頭ナデナデしないで!」

おっといけね!可愛いからつい頭を撫でてしまった…とは言いつつも嬉しそうなんだよなぁ。

「で、何があった?」

「あ、そうそう!あきら義姉おねえさん家に連れ込んでるから家に入らないんだよ」

ほう…こいつは一大事だ!…いつものことだけど。亮は遠い目をしてるし…

「亮…俺泣いていい?また部屋にすら行けないんだけど…」

「まあ仕方ないよ…」

亮…お前はいいやつだな!どっかの俺の弟と違って。

昼食は…近くのファミレスでいいか…

「よし!多分あの2人は夕方まで家にいるだろうし…ファミレスでもいくか?」

「よしけってーい!お金は明に払わせよう!」

さすが亮!わかってらっしゃる。まあ迷惑料としてもらう分には問題ないだろ。

俺は鞄を背負い直すと亮の手を取ってファミレスへと向かった。



昼食を済ませた俺達は夕飯の支度買い足しをすると家に入った。

「流石にもう帰っただろ」

「なんか嫌な予感がするのはリョーの気のせい?」

亮が不安そうにしてる…こいつの予感はよく当たるからな…注意しないと。

「ただいま」

「ただいまぁ〜!」

俺が扉を開けると案の定女物の靴が…声は聞こえないから事後かな?

俺は荷物を置くと手を洗って夕飯の支度を始めた、

「亮、今日は親父も母さんもいないから簡単なのしか作れないけどそれでいいか?」

「おっけー!じゃあはじめの荷物片付けておくね!」

「おう!よろしく頼む」

我ながらよくできた弟だ。明と違って…

俺はそんなことを考えながら米を炊飯器に入れ魚を焼いているとその匂いにつられたのか二階の俺の…いや正確には俺と明の部屋からドタドタと騒がしい足音が聞こえてきた。

義兄おにいさん!今日の夕食は焼き魚ですか!?」

明と一緒におりてきたショートヘアの少女が超ハイテンションでそう言ってきた。この少女、明の彼女で確か加藤かとう椿つばきって名前だっけ?ほぼ毎日家にいるから本当の妹のように認識してる気がする…

「はいはい義兄さんですよ…で?今日も食べていくつもりなの?」

まぁ答えはわかってるんだけど…

「もちろんです!ありがとうございます!」

即答かよ…わかっててもなんか嫌だわ。

「食べるんだったらせめて手伝ってくれ…あ、明は絶対手伝おうとか考えるな!お前が作ると物体Xになる未来しか見えん」

「ヒドイ!はじめヒドイ!俺だってやればできるもん!前に作ったときはちょっと失敗しただけだもん!」

何々だもん!って幼稚園児かよ…あんた自分の彼女がいるってこと完全に忘れてない?

「椿ちゃんからも明に言ってやってよ…」

俺が椿ちゃんにヘルプを求めようと目を向けると椿ちゃんはいつのまにか出来上がってたご飯を茶碗によそっているところだった。

「義兄さん、これくらいの量でいいですか?」

「えっ、あ、ああ…」

いきなり話しかけてきてくんなよ…変な声でたじゃねえか…



夕飯を済ませ食器を洗い終わると俺は亮と風呂に入っていた。

「結局義姉さんは今日も泊まりだって…」

マジか…また俺の部屋で寝れないのか…

「あ、そういえばはじめの荷物片付けてたらなんとかキャンプってプリントが出てきたから荷物は用意しといたよ」

我ながらできた弟…ん?なんとかキャンプってなんだ?…あとで吉田に聞いとくか…

「ありがとう亮」

俺が頭を撫でると気持ちよさそうにする亮。可愛いやつめ!

「ん…あ、はじめ」

「どした?」

急に何か聞きたそうな顔して…

「はじめってさ、なんで背中とか髪の毛が白くなってるの?」

背中…いつも見れない場所だな…

「あー…亮には話してなかったな」

正直、この話題は俺的にはタブーなんだが…亮なら大丈夫だな。

「なんか生まれつき色素が薄いところがあるみたいでね。いつも結んで隠してる髪のとことか右目とか色素がほとんどないから…目は見えないわけじゃないけど紫外線認識をできるだけ浴びないようにしてるんだよ。背中も色素薄いのか…」

そのせいで中学時代はプールも休み、常に右目に眼帯をつけてといろいろと大変だったんだよなぁ…このこと知ってるの担任と吉田と早乙女先輩くらいだし。

「へー…オッドアイってなんかカッコいいね!」

「お前も吉田と同じ反応かよ!まぁ…そういうことだから。俺そろそろ上がるわ」

はやくなんとかキャンプとやらについて聞かねば!


そんなこんなで俺の高校生活1日目は終わりを告げた。

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