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足して2つの高校生活  作者: 赤槻春来
4月.新生活
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新たな生活の幕開け

『おはようございます。今日は四月五日金曜日です』

  リビングにつながる階段を降りると誰かいるのかテレビの音が聞こえてきた。

「おはようはじめ。朝ごはんできてるよ」

  俺はあくびを抑えながら席についた。

「いただきます」

  箸をもち、茶碗を手に取るとドタドタと騒がしい足音が聞こえてきた。

「おはようはじめ!母さん!」

  俺の2つ下の弟、あきらだ。

「朝から騒がしいぞ明…」

「だって…クラス替えだよ!楽しみに決まってるじゃん!」

  俺はそんな明を無視して白米に手をつけた。


  俺は長い前髪で右目を覆い隠すと顔を上げて鏡を見た。

「よし、これで大丈夫かな」

  鏡に映る片目が見えない三編みをした少年は朝だというのにどこか疲れているようだった。

  俺はそんな自分の頬を叩くと鞄を持ってローファーを履いた。この履き心地にはなれない。

「いってきます」

  俺はそう呟くと玄関のドアを開けた。



ーーー



 ここはとある町の私立の高校。周りにコンビニなどはなく駅へつながるバス通りや商店街、林が広がる静かな場所だ。

 俺は門をくぐると自分達の教室のある校舎へと向かっていた。


 教室に入るともうすでに生徒たちは集まっているようで…俺はそいつらの視界に入らないように自分の席についた。

HRホームルーム始めるぞ。私が今日からお前らの担任を務める渡部わたべあつしだ。新任だけど1年間よろしくな」

 担任の渡部は黒板に名前を書くと俺達のほうを向いた。この担任…なんで初回登校日にいなかったんだよ。

「それじゃあまず配布物から配っていくぞ」

 クラスの奴らとは前に一度顔を合わせたとはいえろくに覚えてない俺は考えることを放棄して机に突っ伏すことにした。



にのまえ起きろ。もう下校時間だぞ」

 誰かに肩を揺さぶられた俺はゆっくりと顔を上げるとそこには憎たらしいほどいいつらをした男生徒が立っていた。

「もうそんな時間か…俺もう帰るわ。ありがとな吉田」

「ちょっとにのまえ俺に冷たくない⁉︎」

 標準語の吉田…調子狂うな…

「お前がその言葉遣いだと気持ち悪いんだよ。一緒に帰りたいなら素直にそう言え吉田」

 俺は鞄を持つと慌てる吉田を置いて教室を後にした。



「お前…高校デビューとかすんの?」

 下校中、バス通りを歩いている俺はふとそんな言葉を口にしていた。

「いや、そんなことはないぞ!我は姫様プリンセスを探して結婚するのだ!」

「あ、いつもの吉田だ」

 うざってぇ…標準語もキモいけどいつもの吉田も相当ウザい。うん。

「あれか、お前の言う姫様プリンセスって前から早乙女先輩に言ってたやつか」

「うむ。その通りだにのまえ!お主も探すのを手伝え!」

 うわぁ…なんで上から目線なんだよこいつ…

「早乙女先輩も言ってたぞ。お前は容態だけはいいんだからそれを活かせばいいってな。生憎あいにく俺は三編みしてる変な男子なんだよ」

「いやほんとに待ってよはじめぇ…」

「下の名前で呼ぶな!あと、縋り付くな!気持ち悪い」

 俺は吉田に溝打ちをするとバス停まで歩き出した。

 早乙女先輩…俺はあなたの顔が見たいです…一体どこにいるんでしょうか…

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