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嫌われ者は主人公をただ観る  作者: 自堕落ペン
3/15

第1章 2話

CLのリヴァプール対バルセロナ戦観てたら投稿忘れてました。

 よりによってこのイカレ女と一緒と旅なんて、冗談じゃない。こりゃあ、さっさとトンズラしちまうのが最善策だな。じゃなきゃ魔物とかよりも先にこの女に殺されちまいそうだ。表面上は仲良くして、隙を伺っておこう。



「あんたと俺で勇者見守り隊になったことだし、そろそろ自己紹介してもらえるか。 一緒に仕事するんだ、名前くらいは知らないとな。」


「貴方、ネーミングセンスまで終わってるのね。まぁいいわ。 私はライラよ。 ティラ教のプリーストでこの街の教会で働いてるわ。一応冒険者登録もしてあるわ。ランクは(シルバー)



 ライラね…。金髪碧眼であの魔力量からして貴族の血筋だと思うんだが。家名は隠しているのか、家を出てるかってとこだな。妾との子が教会で働くってのは珍しいことじゃないからな。



「じゃあライラ、早速仕事の話をしよう。勇者一行の情報をくれるか。 サポートにしろ護衛にしろ対象を知らなきゃ無理ってもんだろ?」


「ようやくやる気になったのかしら。いいことね。 でも仕事の話をする前に貴方はやる事があるわ。それに仕事の話は長くなりそうだから中でしましょう」



 ライラがそう言うと、馬車が止まった。どうやら目的地に着いたようだ。 ライラが馬車の扉を開けて降りる。俺もライラに続いて降りる。


「我が家にようこそ」


「家って……ここかよ」



 ライラが嫌そうな顔をして招き入れる。どうやら目的地は教会だったようだな。この教会はティラ教のもので、ガレオス街でもかなりのデカさを誇る建築物だ。街の人間が祈ったり集会、式典に使ったりする。



「それで、話の前にすることってのは何だ?」


「分からないの? 貴方ね、臭いのよ! 身体を洗って、着替えてきてちょうだい!」



 終始不機嫌そうだった理由はこれらしい。檻の中に入れられて、水浴びする機会もほぼなかったからなぁ。

 俺は凄い剣幕のライラに押されて、教会内の水浴び場まで連れていかれた。






 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「ぷは〜っ! 久々の水浴びは最高だな!」



 久方ぶりの水浴びだ。獄中生活で着いた垢を落とし、気分は爽快。桶に貯めた水を鏡がわりに、ナイフで伸びた髭と髪を整える。



「よし、完璧だ」



 よく見慣れた顔が水面に映る。黒髪の短髪に翠色の眼をした浅黒い肌。獄中生活で多少痩せちまったが、すぐに戻るだろう。

 ライラに渡された服に着替えて、ライラの待つ部屋に向かう。


 ティラ教の紋章が入った白い服は、宣教師みたいで死ぬ程似合ってない。すれ違った修道士に怪しんだ目で見られながら歩いていると、ライラの待つ部屋に着いたので、扉をノックする。



「どうぞ、入って」



 ライラは眼鏡をかけて書類仕事中らしい。



「いや〜久々の水浴びは良かった。 それに新しい服もありがとさん」


「どういたしまして、あの臭いで隣にいられたら困るもの。……ぷっ……その服とても似合ってるわよ。でも少し派手だったかしら。ぷっ」



 ライラが書類から俺に目を移す。コイツ確信犯だ。似合わないの分かっててこの服選びやがった。書類で顔を隠しても、肩が震えてるのが見えてるんだよ!だが、ここは大人らしく堪えておこう。



「あと、この指輪は何だ? 着替えに入ってたんだが」


「その指輪は私達が勇者のサポーターである証よ。理解してる人間に見せれば役に立つから肌身離さず着けてなさい。 」



 そりゃあいいな。役に立つ物は何でも利用する主義なんで、使わせてもらいますか。

 指輪を左手の人差し指に着ける。俺の指の太さに調整されたし、魔道具なんだろう。



「はいよ。 じゃあ、そろそろ世界を救う勇者様について教えてもらおうか」


「そうね。まずはこの資料に目を通してちょうだい」



 ライラはそう言って何枚かの資料を手渡してきた。えぇと、どれどれ…サトウユウト?変わった名前だし、家名も聞いたことないな。

 黒髪黒目で、身長約180ガレラ。最上級祝福(ギフト)3つとユニーク祝福(ギフト)持ち、それに全属性魔法適正だと!? 出身は……異世界。



「はぁ……。 勇者だ魔王だの言ってて頭がおかしいのは分かってたが、こりゃあ酷いぞ! まず祝福(ギフト)がおかしいだろ。祝福(ギフト)は原則一人一つ。 ごく稀に二つ持ちがいるが、この数はイかれてる。 それも最上級とユニークときた! 極め付けに異世界から来ましただとよ」


「信じられないかもしれないけれど、全て真実よ」



 これは話にならんな。こんなのが真実なら、俺が勇者でした〜って話の方が信じる奴が多い。……いやそれは微妙だな。



「こんな無茶苦茶な話には乗れないな。 悪いが契約は無かったことにしてくれ。 そんじゃ失礼する」


「ちょっと、どこに行こうとしてるの」


「牢屋に戻らせてもらうよ」



 そんな気はサラサラ無く、トンズラしようとしてるんだがな。

 外に出ようと、ドアノブに手をかける。途端に左手に痛みが走った。痛みはドンドン増していく。痛みに慣れている俺でさえ耐えられない激痛になっていく。どうやら痛みは指輪の辺りから来てるようだ。



「〜っ!! おいっ! なんだこれ、外れないぞ!」


「そういう仕組みになってるからね。無理に外したら死ぬかもしれないわよ」


「なんて物着けさせやがる! そんな話聞いてないぞ! 着ける前にちゃんと言いやがれ!」


「聞かれてないもの。 それに最初から言ってるでしょ。 貴方に拒否権はないの。」



 とんでもねぇ! 本当にとんでもない女に目を付けられちまったらしい。 これじゃあ首輪を付けられた犬じゃねぇか。



「それじゃあ、話の続きをしましょう。」



 どうやら、まだまだ妄想話を聞かさせられるらしい。気が遠くなってきた。





ガレラ=cm

ガレリ=m

ガレル=km



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