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光源郷記  作者: じゅんとく
第2章
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緑谷島 11

 永連の入学が決まると、近所の人達も新良の祝いに集まって来た。


 新良達の家では皆が集まって祝うには少し狭かったので…悝宇の民宿の広間を借りて、食事会を含み祝う事になった。近所からは利空や流栄等、宋和が祝いに訪れた。季透や黄洋、敬宇も来て新良を祝いをしに来た。


 「今の君の姿を登武にも見せたかったな…」


 と、黄洋は惜しみながら言う。


 里塾で教師を行って居る来史も挨拶に訪れた。彼は教師になる為、若い時期に永連で授業を受けた者であり、孔喜とは顔見知りであった。


 「おお…懐かしいな来史よ…元気だったか…」

 「はい、先生もお変わりなく元気そうで何よりです」

 「まあな…元気が何よりの取り柄かもしれんが…」


 愛想笑いしながら、孔喜は来史に杯を交わす。


 その日は、夜更けまで食事会は続き、子供達や女性達は先に上がって帰る事にした。

 夜が深くなる頃…周辺は人気も無くなり静まり、賑やかだった食事会も静かになり、一部の大人達だけが残って静かな飲み会となる…。


 席には孔喜、朗戒、聡悸、砂甜と…永連に関係してる来史、宿の主人である悝宇の姿もあった。彼等は食台に集まり互いの顔を見合わせる形で椅子に座って、酒を口にしながら話をしていた。


 「広望での異類人種騒動は年々激しさを増していて、国も国防軍を動かし始めている事態だ…早めに手を打たないと、取り返しの付かない事になる」


 孔喜は酒を少し呑みながら言う。


 「人間よりも低い階級としての扱い制度が、一番の原因なんですよね?」


 来史が隣で話す。


 「そうだ…他国では、それがまかり通ってしまい、白陽国も同じ制度を開設するか…どうかを検討している段階だ、人間との共存制度を行おうかと検討している国主様が最近体調不良が目立ち始め…異類人種との制度は宙吊りの状態なんだ」


 「と…言う事は、今よりも悪い方向に向かう可能性もある…と、言う事ですか?」


 砂甜が表情を強張らせながら言う。


 「聞いた噂だと…最悪の場合人間との抗争になる可能性も起こり得るとの事らしい。過去に一度勃発があり、争いを沈める為異類人種の大半を殺害させる程にまでなった。現在…彼等の数が少なくなっているのは、人間達が彼等を殺したからなのだよ」


 悝宇が砂甜に向かって話す。


 「後の世に伝わる『逆転の時代』のことですね…その辺の事は良く聞かされます」

 「人類が兵器を作り上げ、異類人種をことぐごとく抹殺し…浄創人種までも失わせてしまったのだよ」

 「凄い事したんですね…」


 彼等の話を聞いていた来史が孔喜に向かって尋ねる。


 「それで…浄創人種を復活させる為に、新良君を連れて行くのだけど…。何故、彼が鍵になるのですか?」

 「生前…彼は皇竜人種と言われる者だったらしく、影深様の話だと…彼は最後の浄創人種である清安せいあんが亡くなる時に、その側に居て…清安が何時復活するのかを聞いていたらしく、唯一彼がその手掛かりを知っていると言うのだ…」


 その言葉を聞いた周囲の者達はしばらく言葉を失った。ふと…孔喜は朗戒をみると、彼だけ会話に参加せず、全ての食材を食べ尽くすかの勢いで、食事を貪っていた。


 「創霊系浄創人種…病や傷を癒し、水を清め、命を与える…今の我々には想像さえ付かない者が…かつてこの広世に居た事自体素晴らしい事だと感じるけど…。再び現世に巡り会う機会があるなら、会って見たいものですね」

 「そうであるが…正直言って新良君を永連に連れて行った所で全てが解決したとは限らない。我々にとっては歯車の一部が揃った程度の事でしか無いのだ…」


 孔喜は、そう話すと残っていた酒を飲み干した。周囲の者達も自分に出来る事は無いと感じると、何も言えなくなる。


 「ま…まあ、我々は先生達がこの島に来ている間は、色々手伝えた事だし…これからは永連が色々と新良君を教え込むのでしょう。それならそれで良いのでは?」


 聡悸が愛想笑いしながら言う。


 「まあ、それも一理あるが…事の成り行き次第では、また島に来るかもしれないがな…」

 「へ…どう言う事ですか?」

 「それは…今は言えないが…」


 「明日の早朝には、新良君を連れて島を出る予定だ、今後は永連が彼を育てて行く予定だが…」

 「彼の成長が楽しみですよ」


 来史が頼もしそうに言う。と…孔喜が言い終える瞬間だった、朗戒が孔喜の近くにある皿に乗った食べ物を取ろうとした瞬間、孔喜がすかさず彼の手を叩いた。「イテッ!」と、言いながら手を引っ込めた郎戒は孔喜を見ていた。


 「そうだな」


 孔喜が答えた瞬間だった。郎戒の素早い手の動きが、孔喜の目の前にある皿の食材を奪い去り、そのまま彼の口の中へと入って行った。


 「あ、きさま~!」

 「へへん…直ぐに食べない先生が悪いんだー」


 彼はそう言いながら、席を離れて外へと出て行った。


 それを見ていた孔喜は溜息を吐きながら酒を口にした。

 やがて夜が更けて皆は寝室へと向い、それまで賑やかだった食堂は夜の静寂の中へと包み込まれる。


 翌朝…


 新良が永連に入学する事となり、皆が見送りに集まって来た。



誠に申し訳ありませんが…今回で、こちらの作品は一旦打ち切らせて頂きます。


思ったほど評価が伸びず、このまま続けても無意味と感じたました。

作品は1週間掲載させて頂きます。


誠に勝手ながらすみません。何卒ご了承ください。

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