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即死魔法は最強では無いようです  作者: ざこきゃら
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即死魔法

即死魔法を手に入れるまでをざっと

前置き回。

フレーバーなので飛ばしても問題無いです。後で軽く補足入るし






やった!ついに!ついに!!!


興奮を抑えきれずに、ガラにもなく小躍りをしてしまう。

あとから恥ずかしくなるような行動だが、そんなことは今はどうでもいい。


長年、実に7年もかけて研究した魔法がついに完成したのだ!


魔法の研究で7年なんてものは長い方では無い。

しかし俺は今19。

12歳からの青年自体をほぼ魔法の研究のみに費やしてきた。


だが!俺が完成させた魔法は!そんなこともどうでも良くなるくらい画期的なものなのだ!







俺は昔から魔法に関しては人並み、平均値程度の能力だった。

良くも悪くも目立つところのない能力。

そんな俺は、子供の頃から伝説やおとぎ話が大好きだった。

自分には無い、「特別な力」に憧れていた。


成長してからもそれは変わらず、村の学校(少人数で年齢もバラバラ)に通い出しても、よく勇者や、ドラゴンなんかの本を読んでいた。


10歳頃になると、段々と「そういうもの」がバカにされるようになり、自然と一人でいることが多くなった。


どの能力も平均的ではあったものの、どれも扱えるオールラウンダーとして魔法クラスの勉強が中心だった。


そんなある時。

旅の商人が売っていた古びた本、村にある書庫の中は全部読んでしまったのもあって、興味本位で買ってみた。


商人「これねぇ〜、前の町でしばらく質屋のお手伝いしてた時に買い取ったチェストの中に入っててねぇ。まあ見たとおりボロっちいでしょ?興味あるなら安くしとくよ」


小遣いは無かったが、手先が器用だった俺は、森にいる弱いモンスターがたまに落とす宝石のかけらを使って、よく妹にアクセサリーを作ってやっていた。

余っていた簡単なアクセサリーと本を交換してもらった。

向こうも元々売れるとは思ってなかったのか、すんなりと交渉は成立した。



俺は、家に帰るとその古びた本を読み始めた。

内容は、伝説の勇者のパーティーが魔王と戦い、死闘の末に、勇者自身の命と引き換えに、魔王を消滅させたという話であった。


その戦いは実際に100年以上前に起こったもので、勇者達の名前も一致していた。

もちろん伝説好きな俺が知らないはずもない話なのだが、この本は勇者達の装備、使った魔法、相手の行動などが事細やかに書かれていた。

まるで実際にその場にいたかのような細かさに加え、戦士と白魔導士の最期の言葉、そして勇者が命を懸けて放った最後の魔法の挿絵と、それに対する魔術師の考察まで。


そして、著者の名前は勇者の妹、リリス・グランであった。


その戦いで生き残ったのは魔術師、モーリア・デルタただ一人であったが、戦いの後は故郷でひっそりと暮らしていたという。


内容に圧倒された俺は、この本は戦いのあと、モーリアの息子と結婚したリリスがモーリアから聞き出し、書き遺したものだと確信した。


どうしてこんなところまで流れてきたのかは分からないが絶対に本物だと感じた。



しかし、それを周りに話してもバカにされるか軽くあしらわれるだけであった。


それでも本物だと信じていた俺は、戦いで使われた魔法について自分でも考察をし始めた。


いくつか聞き慣れない魔法はあったが、隣町の図書館に買い出しのついでに寄ってみると、似たような記述は存在し、どういったものかはおおよそ分かった。




そうして12歳になった頃。

本の記述が事細やかに書かれているのもあって、使われた魔法に関しては大体理解が出来た(だからといって使える訳ではないが)


その過程で更に知識がつき、力自体はそこまでではないものの、魔法の腕前は着実に伸びていた。


そうして辿り着いた最後の魔法。



そう、勇者が放った命懸けの魔法。



これに関しては、参考にできるものがモーリアの記述のみであった。


しかしその記述でさえ、「〜だからこういうものでは?」程度の内容であり、完璧ではないようであった(かといって試す訳にもいかないが)


というのも、モーリアの考察では、この魔法は高難易度の魂魔法の一種であり、自分の魂の力を直接相手の魂にぶつけたのでは、という事。


まず魂魔法そのものが難易度が高く、下手な扱うと危険もある魔法だ。

それゆえに、魂魔法に関する情報自体が少ない。


一番の情報といえば、挿絵。

これを描いたのはモーリア本人と書いてあるのだが、魔法陣自体は見やすいのだがその他が絶望的に汚い。


元々絵を描いている訳でもないから仕方ないのだが、綺麗に描かれている魔法陣だけが頼りである。


同じ魔法陣でも術者の動きや力の込め方次第で結果は大きく変わる。

一応文章にもあるものの、その時のモーリアも片足を失っている状態であり、当時の世界最高の魔術師であったから、魔法陣は鮮明に絵に描けるほど記憶に残っているが、それ以外は朦朧とした意識の中での話であった。


俺は、最後まできたからには、この魔法も何がなんでも解明しようと思うようになっていた。




知識を集め、いくつか実戦でも活用していくうちに、モンスターとの戦いにも強くなっていき、3年前に素材集めの為に家を出たっきり一度も帰っていない。


そうして、理解が出来た頃には、既に応用の発想がいくつか浮かんでいた。





そう、その応用こそが今、完成した魔法


『 即 死 魔 法 』


である。



相手は中級モンスターであるベアレント。

鋭く大きな角、牙、爪を持ち、硬い毛に覆われた巨大なクマのようなモンスター。


普通なら、冒険者ですらない俺のような人間はとって食われるだけの相手。


そんな奴に向かって、初級の爆発魔法で顔を狙い、挑発する。



唸り声を上げながら駆け寄り、目の前まで来ると立ち上がる。

身長は4メートルはあるだろうか。

何度か倒している相手とはいえ、流石にこの威圧感には慣れないな。


だが、その相手も今日からはその辺のザコと変わりはしない。


腕を突き出すと、腕に直接映し込んだ魔法陣が展開し、文字が動く。

その文字が止まれば、指で軽く弾くだけだ。


グオオオオォォと叫びながら丸太のような腕を振り下ろしてくるが、もう遅い。


コツッ


魔法陣を弾くと堅い音がする


と同時に、ベアレントの叫び声は一気に小さくなり、力が抜けたように倒れ込んでくる。


「うわっ、やっばこっち来るじゃん!」


少し調子に乗りすぎたが、緊急脱出用の魔法陣も仕込んであるため、難なくワープで回避する。


「うーん、死んで終わりって訳じゃないもんな。気をつけなきゃな」


次からは気をつけようそうしよう


「さて、久しぶりに帰るか」


そう呟き、ベアレントの角だけ回収して俺は2年ほど住みついた森を後にした。


即死チートって本当にチートなのかな?って思ったので。


今まで即死チートと聞いても、ん?ってなってた理由が分かりました。クリフトです。

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