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SSレアの俺だけど、普通に最弱底辺です! ~チートな駄犬と始める異世界オキュパイ道 ~  作者: 六輝ガラン
 二大神混沌世界フィニス 第ニ章 見習い剣士と獣魔混合戦線
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69話 最強のメッキが剥げる時 

「卑怯者! 私達の世界からでていけ――」

 激高する濡羽色の髪をたたえる少女。かなり痛んだ巫女装束を身に纏っている。


 これは夢か……たぶん記憶の整理現象なのだろうけど。

 いつどこでの出来事だったかはわからない。


「あの人は、何もしていないのに――」


 世界系アニメの最終回みたいな状況だったような気がする……。

 

「俺はただ壊すだけだ――」

 つらつらと背中が痒くなるような――中二病くさいセリフで彼女とその仲間達を刺激し続けた。


 そこそこの抵抗だってあった。別に攻撃するつもりもなかったけど、防御が最大の攻撃になるってことはままある。


 事態を収拾した後、その街には出入り禁止になった。港町のラーメン、絶品だったんだけどな。


 


 世界を救っているなんて自覚は欠片も存在しない。

 緊急を要する時は、ほとんど道具として自分を定義する。


 そもそも自発的に行動することは苦手だ。世界の片隅に住まわせてもらっている分際で、好き勝手に行動しては天罰が下るかもしれない。



「アナタは何者?」

 事態が収拾した後、潜入していた下っ端の犬奴隷エージェントに聞かれた。


「通りすがりの最強だ」

 その時は、何とも思わなかったけれど、帰りの新幹線でふと我に返って恥ずかしくなった。恥ずかし死するところだった……まあ、そんな簡単に死ねはしないけど。

 基本的に会話の内容は事前に用意されている。


 アドリブでポカをやらかすことも少なくない。言うほど声が低くないのに、ハードボイルキャラなんて無理難題が過ぎる。

 東郷デュークの名は伊達じゃない。


 白状するよ。

 俺は造られた――ハリボテの最強だ。


 犬族の涙ぐましい? プロパガンダのおかげで、勝手にイメージが一人歩きしているんだ。


 大した戦果だって上げていない。


 一方的な防衛戦が数回。狂戦士の襲来が一番印象深い。



 七つの命を保有する半神を倒すのに、その倍は死線をくぐり抜けなければならなかった。

 大当たり確率10分の1を万回連続で引き続けるのは、さすがに骨が折れる。



 そろそろ起きる時間みたいだ。


 奥歯がガチガチとなっている。武者震いが止まらない……嘘です。


 正直、消滅の危機に瀕しているのです。こんな深く眠りに落ちるなんてただごとではないのです。


 それを連れには黙っているわけですが、それも限界なわけです――




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「むにゃ、ん~ん、あと5分……」

 頭がぼーっとしている。


 ……ここは?


 簡素な部屋だ。靴を履いたまま寝ているから、日本じゃないみたいだけど。


「いたっ……」

 頭が割れるように痛い。手に力が入らない……というか消えかけてない?

 どう考えたってヤバいだろう。


 やばいよ、やばいよ。


「落ち着け、落ち着け。ひぃひぃふーう――」

 そうだ名前を思い出そう。


「私……僕……俺――」

 一人称はどれが正解だ。手足とかに油性マジックで書いてないかな。

 置手紙……これはたぶん違うな。意味記憶とエピソード記憶。後者のほうにアクセスしないと。



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