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穴の奥から聞こえてくる。
その音は最初小さく、その上穴に反響していたので、それが何の音であるかはよくわからなかった。
が、やがて気付いた。
足音だ。
それも動物などではなく、人間足音のように思えた。
――誰か……いるのか?
その音は、確実に俺に近づいてきていた。
そして足音が入口近くまで来たとき、音の主がその姿を現した。
死に装束にも見える白い浴衣のようなものを着た女。
その浴衣のようなものは胸のところが大きくはだけていて、白く豊な肉の塊が二つ見える。
どう見ても若い女なのだが、その身体の上にある首はまるで違っていた、
その首は老婆のものだった。
身体に反してどす黒く、醜いほどにしわだらけの顔。
その顔が血走った両目で俺を見ていた。
「うわっ!」
声に出して叫ぶと、俺は走り出していた。
走って、走って、走った。
あの化け物が追いかけているような気がしてならなかったが、後ろを見る余裕など微塵もなかった。




