誕生祭のお誘い
「煮詰まってるのか?」
「!ジャン、帰ってきてたんだ。」
仕事中、橋の方にちらちら目をやると、なんとなくそんな気がした。なので仕事が終わり次第駆けつけてそう聞いてみた次第である。
見ると、やはり色を置く段階で迷っている?ようだった。
「次の中央で行われる展覧会には出展したいんだけどね…」
「わたしが初めて認めてもらえた展覧会だし…」
「そう言えばお前の絵見てきたぜ」
「!……」
「なんていうか…凄く繊細な色使いだった」
「本当にすごい画家だったんだな」
「……」
彼女は複雑な表情でキャンバスに目を落としている。
どうしたんだろう…?
それからさらに3ヶ月が過ぎた。
彼女の絵は一向に進まなかった。
「今度さ、あの教会で誕生祭が行われるんだ。一緒に行ってみないか?」
キャンバスにデッサンされているその教会--
来週には誕生祭が行われる予定だった。小さな街のお祭りとはいえ、街をあげてなので、なかなか盛り上がる。
なんの聖人かは良く知らないが…
「…そうね。いいわよ。」
いつものように難色をしめすか、と思いきやあっさり二つ返事だった。
気が変わらないうちに、と思い
「じゃあ、その日迎えにいくから。」と
約束する