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おくっていくよ

本人曰わく--



結構有名な画家らしい。中央で活躍していたが、とある事情でこの田舎町に来て制作活動をする事にしたらしい。



…しかし、実年齢23 歳(見た目13~14歳くらいに見える…)と言っていたし、有名な画家としては若すぎる気がする。この分野に疎い自分を差し引いても、話半分に聞いておくとしよう……



ジャンはそう思っていた--


「そう言えば、あの教会のおまじない知ってる?」


きょとんとした顔をするサーシャ。


「あっ…、いや、古い言い伝えで、誕生祭のときに…」


「知ってるわ」


「え?」


「知ってるわって言ったの」



驚いた。結構古い言い伝え、おまじないの類で、この街にも知る人は多くはない。あの教会、実は有名--?


すると、まるで心を読んだかのように、


「違うわよ、たまたまわたしが知ってるだけよ」





「お願い、したことあるから」



サーシャと仲良くなってきて1ヶ月ほどたったある日--



「お疲れさん。今日は暇だし、もう上がっていいよ」


「分かりました。じゃあお先に」


カフェの仕事がたまたま早く終わった。時計をみると夕方7時ちょっと回っている。


ふと橋の方をみるとサーシャの姿が。


「よう。まだ描いてるのか?いくらサマータイムとはいえまだ暗くなるのははやいぜ」



いつもは日の明るいうちに引き上げるサーシャだったからこの時間までいるのは珍しい。



「えっ…?あ、ジャン。もうそんな時間…?」


どうやらデッサンはあらかた終わったらしくキャンバスに色を置こうとしている。



--が、


「ちょ、ちょっと!そこにその色おかしくないか!?」


「!う、うるさいわねっ!し、素人には分からないのよ!」


なんだか動揺している。(可愛い…)


「いや、まあ、素人意見だけど…もう暗くなるし、明日改めて色塗ったが良くないか?」


「~~!…分かったわよ。それもそうね」


そういうとテキパキと片付けはじめるサーシャ。


「仕事も終わったし送っていくよ。」



ちなみに、色を置いては八回ほど描き直しているらしい


軽く拒絶されたが、無理やり送っていくことにした。


そこらへんは図太いと自覚している


「そういえば、どこに住んでるんだ?この街にきてしばらくたつと思うけど…」


「あんたね…一応敬語使いなさいよ、わたし、と・し・う・え」


こんな憎まれ口ももう慣れた。慣れたし今更敬語も使う気もない。(見た目自分のほうが年上に見えるし…見た目って結構重要)


なんだかんだ言ってイーゼルなんかは持たされているし…その辺はちゃっかりしている23歳…


「ほら、さっさと歩きなさいよ!わたしお腹減ってるんだから!」


「へいへい…」



そんなやりとりをしながら街の中心へ向かう坂道を登る。



「ここよ」


そこは街の中心部にあるなかなか良い宿泊宿だった。


「へえ…ホテル暮らしか」


意外に思って彼女を見る。こういうのって普通に部屋借りたほうが安いような気がする。もう4ヶ月くらいこの街にいる訳だし…


そう思って聞いてみると


「…あっ!い、いいのよっ!お金ならもう少しあるし…」


「ひょっとして、お嬢様…?」


「違うわよ、わたし孤児だし」



……え?


「べ、別に送ってくれなくても良かったんだけど!…そ、その…荷物あり、がと…じゃあね!」



そういうとパタパタと中に入っていった。辺りはすっかり暗くなって月が出ていた



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