手をつないで
それからすぐカフェに行き、マスターに事情を話して長めの休みをもらった。
そして--
「さあ、行こう」
「最後まで見てるから…!」
傍らで申し訳なさそうに、でも、嬉しそうにサーシャは言った。
「ジャン…ありがとう」
それから四週間後--
絵は完成し、展覧会に送った。
そして、今は二人でその中央の展覧会場に来ている。
「散々な評価だったわね」
さっぱりとした表情で話しかけてくるサーシャ。
「わかってはいたけれど…我ながらびっくりしちゃった」
彼女は絵を描き上げた。
しかし、デッサンはともかく、彼女の繊細な光や大気の表現はもちろん損なわれていた。
展覧会にとても出せる代物ではない、とは本人も分かっていただろう。
それでも、敢えて、彼女は出展した。
「稀代の若手天才画家、サーシャ・ミクロフ、新境地か!?」
と、好意的な評価も少しはあったようだが、
大半の評価は、ちぐはぐ、学芸会レベル、中にはサーシャの画家生命は終わった、とまで論じる評論家もいたようだ。
それでも--
「良かったんだろ?」
「うん…!わたしは良かったって思ってる。わたしが見えてる世界からは色がなくなっちゃったけど…」
「もっと、確かな色をみつけたし!」
「はあ…!?」
見るとサーシャは赤らめた頬を見られたくないのか、ふいっ、とそっぽをむく。
「…これからどうするんだ?」
「さあ~て、どうしようかなぁ、お金もほとんどなくなっちゃったし、何にも考えてなかったわ」
少しおどけてサーシャは言った
「じゃあ…さ、」
「一緒に暮らさないか?」
ふいに言葉がでた。言った後で俺は自分に驚いた
今度はこちらがサーシャの顔を見れない
その時、俺の右手になにか触れた
彼女の左手だ。
彼女は手をつなぎながら言った
「うんっ!」
彼女は、しょうがないなあ~とか言いながらも、その顔は嬉しそうだった。
絵とヴァイオリン、お互いその道はもう歩けないのかもしれないが、
でも、二人でなら、きっと大丈夫、なぜかそう思える自分がいた。
季節は冬になろうかという頃だったが、晴れやかな日の光を浴びる、あたたかな彼女の笑顔を見て
彼女の左手を強く握りながら、歩き出した--
--FIN---
はじめまして、六佳といいます。
この作品はもともとほかのサイトにあげていたものですが、
こちらにもあげてみました。
初めての作品になりますが、いろいろとはずかしいですね、、
読んでいただいた皆様のお時間、ありがとうございます。
のんびり活動していきたいと思いますのでよろしくです。




