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ふたりでできること

三日がすぎた--


橋の上に彼女の姿はない。カフェの常連客たちもちらほら気づいたようだった。


「サーシャちゃん、だっけ?具合でも悪いのかね」


「絵が描き上がって他の街に行ったんじゃないかな」



正直、彼女はもう描かないだろう。いや、描けないと思う。



色のない世界で、彼女は何を思ってこの半年近く描き続けたのだろう



俺はそれだけでも胸が締め付けられた




翌日、思いがけず玄関のドアが叩かれる音で目が覚めた。


時計を見るとまだ7時前だ。



訝しく思いながらもドアを開けると--



そこには、サーシャが立っていた。



「お願いがあるの」




「一緒に描いてほしいの!」


部屋に入るなり、彼女はそういった。


「ううん、わたし、最後まで描くから…!だから見てて欲しい」


「側で見てて欲しいの」



自分は絵なんか描けない。が、側で見守るくらいならできる。



でも、なんでそこまで--



「やっぱりわたし、絵が好きだから…」


「でも描けるのはこれが最後だってわかってる」


「だから、最後にあの教会を描きたいの!わたしの画家としてのきっかけだったあの美しい教会を最後に描きたいの!」



「ありがとうって感謝をこめて描きたいの!」


「だからっ…!お願い!最後まで頑張れるように、側で見ていて!」



まだ少しやつれてはいるものの、サーシャの真っ直ぐな眼差しが痛かった。



自分にもこうした想いが確かにあった…



ヴァイオリン…


自分は怪我をしてからは…そう、諦めた。


自分のせいじゃないし、自分ではどうにもならないから、と諦めた


事情を知っている周りも何もいわなかった。



でも…!



本当は好きだった


今まで押し殺していたヴァイオリンに対する気持ちがこみ上げてくる。


しかし、今は--


今、自分にできることは--




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