マフラー
「何をお願いしたの?」
帰り道、サーシャが聞いてきた。
「んー?別に」
「でもほら、こういう時はO.ヘンリーの賢者の贈り物みたいにお互いのことを…」
「ごめん」
「…?」
途中で遮られた。
「ごめん、わたし、自分のことを…絵の事をお願いした」
「あなたの気持ちは嬉しく思う…正直、あなたには助けられたし、好き、よ」
「……」
「でも、わたしは--今制作している絵が描き上がりますように」
「それだけを強くお願いしたわ」
「ごめん…ね…」
「わたしが画家を目指すきっかけがこの教会だった。」
「だから今、この教会を描きたいの」
秋も近く、随分涼しくなってきた。朝夕は寒いくらいだ。
彼女は--
サーシャはまだ描き続けていた。橋の上で。
中央のコンテストも近い--
が、完成、という出口はまだ見えていないようだった
「ほら、これ」
「ふぇ…?」
「朝夕はもう冷えるんだからな」
サーシャの首にマフラーを巻いてやる。
「こ、これ…?」
「頑張ってるお前に応援だ」
「…えへへ、ありがと…あったかい」
「ほら、鼻水でてるぞ…良い色だろ?」
「え?」
「お前に似合いそうな色探してみた。」
「………」
「それだと、お前が良く着てる緑のチェックの服にも映えるし、な」
マフラーの色?の話に一瞬サーシャの表情が強張ったように見えたが、
「服にあうだろ?」と言うのを聞き、
「う、うん!綺麗な赤色だね!」
といった。
頭の片隅でどこか違和感を覚えたが…
喜んでい
るみたいだし、何よりサーシャの笑っている顔をみて、そんな違和感は吹き飛んだ
強いていえば
綺麗な赤…
というよりは深い赤、といった方が正確な気がするが…
ま、芸術家の感性、か?
それから二日後、唐突に知ることになった。
彼女の絵が、完成しない理由を
サーシャが必死にたたかっていたことを




