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橋と画家とバイオリン
中欧…
ヨーロッパのほぼ真ん中に位置しており、中世時代を色濃く残し、独特の文化や芸術を産み出した国々…
そんな国々のとある街のお話です
世界遺産にも認定された街-
赤茶けた屋根と白壁の家々が立ち並び、この地方では二番目に大きな古城が街のはずれに建っている。
街を囲むように川が流れ、所々は崩れかけた城壁が残っていて、
そんな街の川沿いの一角にあるカフェで、彼は働いていた。
彼の名前はジャン。身長は185センチはあるだろうか。細身で黒髪。
黒い瞳のあたりまである髪の毛はややもすれば鬱陶しい。
ジャンはカフェの厨房兼ウェイターとして働いていた。
ジャンは、このカフェを気に入っていた。
小さいながら川に張り出したオープンカフェもあり、すぐ側には黒い木製の橋がかかっていて、その橋の上では、観光客が写真を撮ったり、街の若者たちが音楽を奏でたりしていた。
賑やかな風景--
それを見ながら働く
のが彼の日常だった