王国side 陰謀
かなり短いので午後にもう一話載せます
ハルト達が異世界に召喚されて二週間が過ぎた日の夜、王城のとある一室で話し合いが開かれていた。
集まっているのは王国の上層部のさらに限られた者のみ、この話し合いはトップシークレットだからだ。
国王シャルルが号令をして、会議が始まった。
「これより、勇者定例会議を始める。宰相、報告を」
「はっ、かしこまりました。まず勇者達の訓練状況ですが、騎士団及び魔法師団からは期待以上との報告が上がっております」
「ほう、期待以上とな?」
「はい、勇者を筆頭に凄まじい潜在能力を持っているらしく、生産職の称号持ちでも騎士以上の潜在能力を持っているもようです」
「ふむ、けっこうけっこう」
「ただ、一名に関しては器用貧乏の称号持ちで、将来性は期待できないようです」
「まあ、一人くらいハズレもいるじゃろう。他は皆当たりなのだ、特に気にする事もないじゃろう」
この会議は召喚した勇者達に関する報告と勇者達への対応を話し合う場である。一部の者達しか集まっていないのは、勇者達を召喚した本当の理由を知っている者が一部しかいないからである。
「では続いて勇者達の態度ですが、概ね問題無いとの報告です。こちらの指示に従順で特に揉め事も無いようです」
「こちらの本当の目的にも気づいていないようじゃな」
「はい、今のところ気づかれていないようです」
「よし、では帝国の動きはどうじゃ?」
「はっ、今のところこちらの勇者召喚には気づかれていないようで、大きな動きはありません」
「ふっふっふっふっふ、計画通りに事が運んでおるな」
会議に参加していた一人が手を挙げる。
「もし、帝国が感づいた場合はどうなさいますか?」
「いくら帝国といえど、すぐに大きな動きは取れないでしょう。外交にしろ、軍を動かすにしろこちらはすでに対応をとれるようにしているので問題ありません」
宰相が自信満々に答える。手を挙げた者も一応確認しただけなのかすぐに納得しまようだ。
「よろしい、むしろ帝国が戦争でも仕掛けてきてくれば勇者達に戦ってもらうのにのう」
「彼等は戦ってくれますかね」
「くれるじゃろ。あんな子供の思考を誘導するのは簡単じゃからのう」
また別の者が国王に質問するが、国王は嫌らしい笑みを浮かべている。
国王にとって勇者達は都合の良い駒でしかなく、まして子供など操りやすいと大喜びである。特にあの勇者の少年、謁見の間の態度から見て実によくこちらの掌の上で踊ってくれるだろうと。
「しかし、彼等も可哀想ですなー。魔王を倒しても帰還の方法など解らないというのに」
「なあに、我等には神の考えていることなど解らん。勇者達が帰れるかどうかは神のみぞ知るじゃな。はっはっは」
国王の言葉を聞いて辺りから笑い声が起きる。
エスタ・エンパイア王国の真の狙いとは、勇者達を使って帝国を潰し領土を広げることであり、魔王の討伐などは大義名分にしか過ぎず本当に討伐する気はさらさら無かった。
この事実は一部の者しか知らず、アレクやトウルにも知らされていない。
大人達の醜い欲望の話し合いのなか、夜はふけていった。
ハルト達がこの事実を知るのはまだ先の話であり、この時のハルト達は自分達の未来に暗雲がかかっていることに全く気がついていなかった。