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器用貧乏とレオ1

お久しぶりです。

実は気分転換に新作を載せました。興味ある方は見てみて下さい。

 


「ぐああぁぁ!」


 悲鳴が上がる。また、仲間がやられた。

 パーティの実質的なリーダーである俺、レオは戦慄していた。


 俺たちは、とあるダンジョンに向かう途中だった。だが、いきなり現れた正体不明の敵に攻撃されて、パーティは壊滅状態。

 敵はたった一人だってのに、一方的にやられているのはこっちだ。


「おい! さっさと何とかしろ!」


 うるせえ、わかってるさ!


「陣形を組み直せ!」


 俺の声に反応して、仲間たちが陣形を組み直す。


「お前ら、俺を守れぇ!」


 さっきから騒いでいるのは、俺の主人だ。まったく、この状況で無闇に喚いたところで、何にもなりはしねえ。


「来るぞ!」


 敵が無造作に歩いてくる。全身黒ずくめの格好で、裾の解れたボロマントが風になびいている様子が不気味だ。


 仲間に声を掛けた俺は、得物を担ぎ上げる。大質量のグレートソードだ。仲間たちには、剣にしては大きく、分厚く、重く、大雑把すぎて、まるで鉄塊のようだと言われている自慢の一品だ。常人には持ち上げることすら容易ではない得物だが、獅子の獣人である俺には丁度いい。


 ギィンン!!


 耳をつんざくような金属が鳴り響き、俺の腕に途轍もない衝撃が伝わる。

 姿が霞むような速度で踏み込んできた敵の攻撃を何とか受け止めたが、あまりの威力に踏鞴踏んじまう。

 すぐに仲間たちが切り掛かるが、逆に切り捨てられていく。


「くそ! こっちは十二人だぞ!?」


 俺たちは、六人の2パーティ、合計十二人。十二人の内、一人は俺たちの主人が混じっている。

 俺たちは、主人である人間に買われた奴隷だ。十一人でセットの戦闘奴隷で、それなりに実績もある。その俺たちが、こうも一方的にやられるなんて。


「兄貴ッ!」


 弟のマオが、主人の前で剣を構えている。一番レベルの低いマオが、主人の直衛にまわらなければならないほど事態は逼迫(ひっぱく)しているってか。もう、四の五も言ってられねえ。


「うおおぉぉ!」


 今度は、俺から斬り掛かった。自慢の得物が、空気を裂いて唸る。どんな敵にも、当たれば大ダメージを与えられると自負してる剣撃も当たらなけりゃ意味が無ねえ。


「くっ、掠りもしねえ!」


 俺は、連続して斬り掛かるが、グレートソードは虚しく空を切るだけだ。


「何をやっている! さっさと始末しろ!」


 馬鹿が! 

 主人が騒いだせいで、敵の注意が主人に集まっちまった。敵は、俺を無視して、主人へと向かう。


(くそが、速すぎる!)


 俺もすぐに追いかけるが、まったく追いつけねえ。AGIが違い過ぎる。


「う、うあぁぁ!」


 マオが震えながら前に出るが、あいつじゃ五秒と持たねえ。不味い!


 ギィィン!!


 大型の盾を持った仲間が間に割り込んで、敵の剣を防いだ。お蔭で、俺も間に合った。


「うおらぁッ!!」


 俺の攻撃は、また避けられたが、とりあえずはこれでいい。敵は、後方に跳躍して、距離を取った。


「ふふふ」


 俺が、次の攻めを考えていると、敵が急に笑い出した。


「あはは、ははは。中々粘りますねえー! これは、もう少しだけ力を出す必要がありますねえー!」


 敵の声は、無駄に高くて、キンキン声で耳に障る。


「それじゃあ、行っきますよおー!」


 敵はマントのフードを跳ね上げながら突っ込んで来る。奴の面を初めて拝んだが、ふざけたピエロのような化粧をしていた。性別は男みてえだな。


「おお!」


 再び大型の盾を持った仲間が、間に割って入った。俺は、連携して攻撃出来るようにタイミングを見計らう。


「ひゃはは! 斬り裂け、バルムンク!」


 だが、そんなものは無意味だった。奴は、盾を斬り裂きやがった!


「ぐああ!」


 仲間が、盾ごと斬り捨てられた。なんだ、あの切れ味は!?


「バルムンクだと!? 本物なら伝説の剣だぞ!」

「本物ですよぅー」


 くそが! 奴のニタニタした面が忌々しい!


「ひ、ひいっ。か、勝てるわけが無い。お、お前ら俺を逃がせえ!」


 主人の馬鹿は、そう言うなり敵に背を向けて走り出した。俺たちは、奴隷であるため主人の命令には逆らえねえ。


「うおお!」


 残っていた仲間が斬り掛かるが、あっけなく殺された。もう、残っているのは俺とマオだけだ。


「マオ! お前は、主人と一緒に行け!」

「で、でも」

「あいつ一人じゃ、どっちにしろ町まで生きて帰れねえ。だから、お前が行くんだ」


 マオは、俺にとって最後の肉親だ。死なせるわけにはいかねえ。


「あ、兄貴、死なないでね! し、死んだらぶっ飛ばすからな!」


 マオは、主人を追って走っていく。

 へ、言うようになったじゃねえか。これなら、もう俺がいなくても大丈夫だな。


「お前は、刺し違えてでも倒す!」


 俺が宣言して一歩前に踏み出すと、奴は愉悦そうな顔になる。


「これはこれは、麗しい兄弟愛ですねぇ! なら、弟くんから殺して差し上げましょう」

「ふざけんな!」


 俺は、弟を守る!

 両手剣AS『バーチカルセイバー』


「くたばれ!」

「おっそ(笑)」


 渾身の一撃は、今までと同じく空を切る。


 ドゴッ!


 カウンターで放たれた奴の蹴りが腹に埋まる。金属鎧を着けているのに、凄いダメージだ。ちらりと確認すると、鎧が靴の形に陥没してやがる。ふざけた威力だ。


「ガハッ!」


 俺は血反吐を吐いて、倒れ込んだ。


「じゃあ、弟くんを殺してくるから、ちょっと待ってて下さいねえ!」


 奴の遠ざかる足音が聞こえる。このままじゃ、マオが殺される。それは、駄目だ!

 俺は何とか立ち上がろうとする。くそ、足がぷるぷるしやがる。

 顔を上げると、マオが追い詰められているところだった。


「させるかぁっ!」


 俺は疾走する。恐らくは人生で、一番速く走れたはずだ。だが、一足遅かった。


「残念でしたー」


 俺の目の前で、奴の剣がマオを貫いた。剣が抜けると、マオは地面に崩れ落ちる。


「マオォ!」


 俺は走った勢いそのままに、剣を奴に叩き付ける。案の定避けられたが、衝撃で地面が砕け、奴は大きく距離を取った。

 奴は、そのまま主人の方に向かったが、どうでもよかった。そんなことよりマオのことだ。


「マオ、しっかりしろ!」


 マオを抱きかかえて揺するが、反応は弱弱しい。必死に止血をしようとするが、血は止めどなく溢れていく。


「あ、兄貴……」


 よかった。まだ、息はある!


「兄貴、俺はもうだめみたいだ……」

「何言ってやがる! お前は、まだこれからだろうが!」


 くそ、血が止まらねえ。熱い血潮が流れ出ていく。まるで、命そのものが流れ出ていくように、マオの存在が希薄になっていく。


「お、俺のことは、もういいから……。兄貴は逃げてくれ……」

「馬鹿なこと言ってんじゃねえ! お前を置いて行けるかよぉ!」


 遠くで主人の悲鳴が聞こえた。だが、それがどうした。俺にはマオだけが。俺はマオのために。


「し、死んだらぶっ飛ばすからな……兄貴……兄ちゃん……」


 抱きかかえていたマオの体が急に重くなった。いくら呼び掛けても、揺すってもマオは返事をしない。

 最後に兄ちゃんと呼んでくれたのはいつだったか。きっと、ただひとつを除いて、もう思い出すことはできないだろう。そう、マオが死に際に呼んでくれたこと以外は


「うおおおおああぁぁぁ!!」


 思考がドス黒いものに塗りつぶされていく。

 奴は、奴はどこだ!?


「おやー?」


 奴は、ちょうど主人を殺したところだった。

 お前が、お前がマオを!!

 力が入り過ぎて、握った拳から血が出る。だが、気にもならねえ。

 俺はグレートソードを掴むと、奴に躍り掛かった。

 死ね! 死ね! 死ね!

 思考は殺意に埋め尽くされ、まともな判断を下せない。ただ、闇雲に剣を振り回す。


「はあー。期待外れですねー」


 奴は落胆したようにため息を吐くと、剣を一閃した。


「がふっ」


 急に膝から力が抜ける。下を向けば、鎧が真一文字に斬り裂かれていた。傷は深く、致命傷だ。


「はい、これでおわr」

「うおあぁ!」


 致命傷? それがどうした。こっちは、はなっから捨て身だ!

 最後の力を振り絞った一撃は、確かに奴の体を捉えた。


「ぐあっ!」


 奴はヨロヨロ後ずさったが、傷は浅く大したダメージではないようだ。


「くそが……」


 もう、動けねえ……。くそ……。こんなところで死ねるか。俺は、マオの仇を……。


「やれやれ、油断してしまったなー。ま、いっか」


 奴が、(きびす)を返して去ろうとする。

 薄れる意識の中、俺には何もできない。諦めかけたその時、視界に何かが飛び込んできた。

 それは、黒い、禍々しいコートを着た男だった。



今回出てきたバルムンクは、いつぞやにやった武器応募のやつの第一段です。他の武器も早く出せるようにがんばります。

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